無印良品のインテリアアドバイザーに聞く「使いやすいキッチン収納」

みんなでつくる住まいの手引き | 2025.7.31

「みんなでつくる住まいの手引き」では、快適な暮らしに役立つ知識や住まいを長持ちさせる適切なお手入れ方法をお伝えします。無印良品の家のスタッフによるノウハウと、実際のご入居者さまのアイデアもご紹介します。
あなたも一緒に「賢い住まい手」を目指しましょう。

今回のテーマは「使いやすいキッチン収納」。調理器具・家電に食器に食材、、、と、キッチンで使うものはたくさんあります。作業効率が高く快適なキッチンにするためには、どのような収納の工夫が必要なのでしょうか?今回は無印良品のインテリアアドバイザーである村田さんに、キッチン収納のポイントをお聞きしました。

【目次】
1.無印良品の家の住まい手に聞いた「キッチン収納事情」
2.キッチン収納の基本とNG例
3.使いやすいキッチン収納のポイントは「ゾーニング」
4.定期的な断捨離で収納上手になろう
5.キッチン収納におすすめの無印良品アイテム

1.無印良品の家の住まい手に聞いた「キッチン収納事情」

無印良品の家で暮らす方は、ご自宅のキッチン収納についてどう考えているのでしょうか?自宅のキッチン収納に「満足している」と回答した方は全体の約6割。お困りごとについては「見た目と機能性の両立」や「収納の少なさ」「シンデレラフィットの収納が見つからない」などが挙げられました。
(アンケート:2025年7月インスタグラムにて実施)

Q.ご自宅のキッチン収納に満足していますか?

Q.キッチン収納について気になること・困りごとはありますか?

・オープンキッチンなこと。やはり隠せるほうがスッキリする
・おしゃれと機能的が両立できません
・家族のこだわりが強くて、整理の提案を拒否される
・シンデレラフィットが見つからない
・収納が少ない
・シンク内に合うサイズ(欲をいえばデザインも)水切りカゴや洗剤置きがなかなかないので、あると◎

2.キッチン収納の基本とNG例

「物が多くてどこに何があるかわからなくなってしまう」
「調理器具や食器を取るために行ったり来たり。ムダな動作が多い」
キッチン収納について、お悩みを持つお客さまはたくさんいらっしゃいます。考えて収納しているはずなのに、どうして使いづらい状態になってしまうのでしょうか?
キッチンだけでなく、収納には押さえておくべき基本があります。収納の基本は実はとってもシンプル。基本さえ守れば、どなたでも使いやすい収納スペースをつくることができます。

収納の基本とは

「使うこと」を考えて場所を決める
収納場所を決めるとき、物がきれいに整列するように並べるなど「見た目」を整えたくなるかもしれません。ですが、一番大切なのは「どこで・何のために使うか」ということ。使用目的・使用場所、使用頻度といった「使うこと」をイメージして収納場所を決めると、物を取りに行く際の作業効率も上がります。

基本を押さえた収納の具体例
①使う目的別にまとめる
②使用する場所の近くに収納する
③使用頻度が高いものを手に取りやすい場所に収納する

キッチン収納のNG例

見た目はきれいに収まっている収納も、基本が守られていないと次第に散らかってしまったり、物を取りに行く手間が増えたりと不便になっていきます。よくあるキッチン収納のNG例とご自宅のキッチン収納を見比べて、状態を確認してみましょう。

□物の置き場所が決まっていない
お菓子がいろいろな棚に置いてあったり、その都度置き場所を変えている物はありませんか?

□よく使う食器が取り出しにくい位置にしまわれている
頻繁に使うお皿が棚の奥や高い位置にしまわれていませんか?

□用途が同じものがバラバラの場所にしまってある
たとえばお菓子づくりに必要な道具がバラバラにしまってある、お弁当箱と水筒が別の場所にあるなど、用途が同じ物が別々の場所にしまわれていませんか?

「収納のストレスは侮れないものです。たとえば、ワクワクした気持ちでお菓子づくりをしよう!と思っても、道具を探してあたふたしているうちにやる気を失ってしまう。そんなこともあります。用途が同じものをまとめて置いておくだけでも作業効率が上がって時短になります。快適な収納は、日々を楽しく過ごすためにも重要なんです(村田さん)」

3.使いやすいキッチン収納のポイントは「ゾーニング」

基本に沿ったキッチン収納をつくるために欠かせないのがゾーニング(物の置き場所を決めること)です。具体的に、物の用途や使用頻度に合わせた置き場所の決め方をご紹介します。

アイテム別のゾーニング方法

①食器
食器は日々の食事で普段使いするものもあれば、来客の際やお祝いごとなど特別な日に使うものもあるでしょう。使用頻度によって食器をグループ分けして、使用頻度が高いものほど取り出しやすい位置にしまうことが大切です。

\取り出しやすい位置とは?/
「気をつけ」の姿勢で食器棚の前に立ったときに、目線の高さから指先の間に入る位置がゴールデンゾーンと呼ばれ、最も取り出しやすい位置です。普段使いをする食器類を優先的にゴールデンゾーンにしまいましょう。季節ものや特別な日に使うような食器類は、取り出しにくい場所にしまっても構いません。

②調理器具
調理器具はだいたい使う場所が決まっていますよね。たとえば鍋やフライパンはコンロの近く、ザルやボールはシンク下、というように、使う場所に近い場所へしまいましょう

③ラップやアルミホイルなどの消耗品
まず、開封済みで使い途中の物と未開封のストック品で分類します。使い途中の物で使用頻度が高いラップやアルミホイルなどは、優先的にゴールデンゾーンへしまいましょう。使用頻度が低い消耗品やストック品はまとめて、軽量の物であれば高い場所へしまいましょう

④食材(常温保存の物)
食材は賞味期限内があるため、ひと工夫します。開封済みのものは手元にしまい、未開封のものは目線よりも低い位置の収納へしまうとよいでしょう。

「目線よりも上にあるものは忘れやすいと言われます。食材のように使用期限のあるものは、目線よりも下の収納にしまうことがおすすめです(村田さん)」

ゾーニングで気をつけること

Q.ストック用に買った食材の賞味期限切れを防ぐには?

買ったことを忘れていたり、うっかり賞味期限を切らしてしまった、ということもありますよね。食材を食べきり、買いすぎないためには、先入れ先出しを徹底しましょう。賞味期限が見えるように置き、新しく買ったものは後ろへ並べます

Q.野菜類をシンク下に収納しても良いでしょうか?

野菜類をシンク下などの湿気の多い場所に置くのは避けた方が安心です。野菜の保管場所は冷蔵庫の野菜室がおすすめですが、やむを得ずシンク下にしまう場合は、密閉できる容器に入れておきましょう。シンク下には掃除用品をしまっておくと便利です。

Q.火気の近くにある収納で気をつけることは?

火気に近いコンロ下は特にNGな物はありません。何かと使い勝手の良い収納なので、使用頻度が高いものを優先した方が便利です。たとえばフライパンやお鍋などがよいでしょう。火気を使う物という分類で、ホットプレートやカセットコンロをしまうご家庭も多いですが、使用頻度が多くなければ別の場所でもかまいません。

4.定期的な断捨離で収納上手になろう

使いやすいキッチン収納を保つために、定期的なセルフチェックで状態を見直すことも大切です。物をどのような基準で手放せばよいのか、断捨離の基本を解説します。

断捨離の基本

使えない物・使わない物を整理する
ヒビの入ったお皿などの壊れている物=使えない物だと判断しやすいのですが、使わない物というのはなかなかわかりづらいもの。「いつか使うかも…」と長期間しまってあるものは、思い切って手放すことも大切です。

断捨離の目安は「1年」
使わない物の判断基準は1年を目安にするとよいでしょう。春夏秋冬それぞれに食のイベントや記念日があります。1年を通してまったく使わなかった物は、この先使う可能性もとても低いはずです。

適量を知る
たとえばお皿は、住んでいる方の人数+1,2枚が適量です。また、食器類はサイズもチェックしましょう。お弁当箱であれば、自分の食事量に合うものを選びますよね?基本的にはお皿も考え方は同じです。食事量とあまりにかけ離れたサイズのお皿は使わない物に分類できるかもしれません。

セルフチェックで物の量を把握しよう

ご家庭のキッチンにある物の量を把握します。キッチン収納にしまってあるものをすべて外に出して、それぞれの量をチェックします。

\特にチェックしてほしい物/

□食材のストック
期限切れや買い過ぎを防ぐために要チェックです。セールでまとめ買いをしたものなど、忘れているストック品はありませんか?

□食器類
よくあるのが、過剰な量のコップやマグカップ。頂き物や粗品、衝動買いしたコップなどがあふれていませんか?

□保存容器
いろいろなサイズのものを買っていたり、思いのほか買いだめしているということもあります。

□使用頻度の少ない調味料や調理アイテム
竹串やお弁当に使うピック、珍しい調味料など、いつの間にか買ったことを忘れている物はありませんか?

「忙しくて整理をするよりも買い足した方が早い、と物を増やしてしまうご家庭も少なくありません。私の場合は、買い過ぎ予防策としてそれぞれの物の量をメモに書いて把握しています(村田さん)」

5.キッチン収納におすすめの無印良品アイテム

無印良品ではさまざまな収納アイテムを取り揃えていますが、特にキッチン収納に使いやすいアイテムをご紹介します。実際の使用例も参考になさってください。

錆びにくいステンレスを使用したバスケット。持ち手を内側におさめると積み重ねもできます。中に入っているものが一目でわかるので、物を探す時間も短縮できます。7種類のサイズ展開がありますが、「3」はキッチン収納にも使いやすいサイズ感です。

【使用例】

柔らかい素材のポリエチレン素材を使用した収納用品です。水や冷気にも強く、さまざまなシーンで活躍します。耐冷性・耐水性にもすぐれるポリエチレンのケースは、水まわりや冷蔵庫の中の整理にも役立ちます。

【使用例】

表は収納物が取り出しやすく、裏に返すと中が見えにくい形です。背幅50mmの2穴ファイルが2冊入る、幅15cmタイプの幅広ファイルボックスです。A4ワイドサイズも収納できます(耐荷重:約5kg)。再生材を20%使用しました。

【使用例】

豊富なサイズや素材のパーツを組み合わせてつくるユニットシェルフ。錆びにくいステンレス素材は、シンク下の収納にもおすすめです。

【使用例】

お話を聞いた人:無印良品 インテリアアドバイザー 村田佳代さん
無印良品歴14年、インテリアアドバイザー歴12年。
無印良品店舗勤務のキャリアを経て、現在はインテリアアドバイザーの育成を行っている。お客様に対しては暮らしを楽しむことを軸にした提案をモットーに、自身でも日々暮らしの中で新しい楽しさに気づきながら工夫することを実践中。何より柴犬が好き。