いますぐできる住まいの安全チェック
みんなでつくる住まいの手引き | 2024.2.27
住まいは何十年もの時間を共にする大切な場所。だからこそ、あなたや大切な人が健やかなくらしを送るために、快適で安全な場所にしておきたいですよね。
「みんなでつくる住まいの手引き」では、快適な暮らしに役立つ知識や住まいを長持ちさせる適切なお手入れ方法をお伝えします。無印良品の家のスタッフによるノウハウと、実際のご入居者さまのアイデアもご紹介します。
あなたも一緒に「賢い住まい手」を目指しましょう。
2024年1月に発生した能登半島地震をはじめとして、風水害や雪氷災害など、日本では自然災害が発生しやすい国土です。今回は地震対策を中心に、室内のリスクから身を守るため今すぐできる住まいの安全への工夫についてご紹介します。
1.地震発生時に考えられる室内のリスク
2.いますぐできる室内の地震対策
3.無印良品の家の住まい手の地震対策
4.暮らしになじむ「もしも」の備え
5.地震の「後」の点検も忘れずに
1.地震発生時に考えられる室内のリスク
東京消防庁の調べによると、近年発生した地震被害では負傷者のうち30~50%の方は、屋内の家具類の転倒・落下によって負傷しているといいます(東京消防庁ホームページより)。室内にはさまざまな危険がはらんでいるのです。
では、地震が起こると室内ではどのようなことが起こるのか?あらためて整理してみましょう。
地震が起こると室内はどうなる?
家具の転倒・落下・移動
大きな揺れが起これば、小さな家具だけでなくタンスなどの大型家具が転倒する危険も十分に考えられます。周囲にいる人やペットがケガをするほか、避難経路がふさがれて逃げ遅れてしまうリスクもあります。
窓ガラスが割れる
物が当たったり、地震による建物や窓枠のゆがみによって割れる危険があります。窓ガラスが割れた際のガラス片の飛散も危険ですが、床に落ちたガラス片にも注意が必要です。慌てて逃げようとして足元のガラス片を踏んで怪我してしまうことも考えられます。
ドアが開かなくなる
地震によって建物がゆがめば、ドアが開かなくなる可能性もあります。当初は被害が少なく、在宅避難が可能な状態だとしても地震が起きたらドアを開けるということを常に頭に置いておきましょう。近隣の火災が燃え移ってきたり、繰り返す地震によって室内の被害が拡大し、避難を余儀なくされることも十分にあります。
火を使う器具による火災
調理中に地震が起きれば、周りの物に火が燃え移り火災に発展する危険があります。
現在の都市ガス・プロパンガスなどは震度5程度で自動的にマイコンメーターがガスの供給を止めるように設定されていますが、常日頃から火の近くには燃えやすいものを置かない習慣が大切です。
また、ストーブも耐震自動消火装置が付いているものが販売されていますので、いざという時に安心できるものを使うようにしましょう。
2.いますぐできる室内の地震対策
室内の安全性は、住まい手の工夫で高めることができます。特に安全対策をしてこなかった方や不安を感じている方は、ぜひいまから始めましょう。
家具の配置、こんな風にしていませんか?
□ベッドの真横に大きな家具を置いている
□寝室で頭の近くに倒れやすいものを置いている
□玄関に物をたくさん置いていて、足の踏み場がない
□廊下などの避難経路に大きな家具を置いている
□プリンターや調理器具など重い家電を扉のない高い場所に置いている
安全対策としての家具の配置ポイント
寝室内の配置は特に注意
夜間やぐっすり寝ている間に地震が起きたら、すぐに動きだせるとは限りません。ベッドの真横に背の高い家具を置かない、頭の近くに物が落ちそうな環境をつくらないなど、寝室はできるだけ安全に過ごせる空間に整えておきましょう。
どうしても棚などを置く場合は、扉に耐震ラッチを付けることをおすすめします(耐震ラッチは、地震の揺れを感知すると棚などの扉をロックしてくれるアイテムです)。
避難経路を想定して、経路上に極力モノをおかない
玄関前は常にすっきりと片づけておきましょう。靴や物を並べていると、いざという時につまづいてケガをしたり逃げ遅れる心配があります。また、日頃から避難する時にどこを通るのか?をイメージしておきましょう。避難経路には本棚などの大きな家具を置かないことがベストですが、やむを得ない場合は補強アイテムを活用して、倒れないように工夫しましょう。
重量のある家具・家電はできるだけ低い位置に置く
大きな地震の際は、重さのあるものも簡単に動いてしまいます。キッチンであれば扉のない棚に食器や調理家電を並べていたり、リビングやワークスペースに、使いやすいからとプリンターを高い場所に置くことがあるかもしれませんが、要注意です。重量のあるものはできるだけ低い位置に置くようにしましょう。
室内に安全エリアをつくる
室内を背の高い家具を置くエリア、低い家具を置くエリアで分けるのも一つの安全対策です。地震が起きた際、低い家具を置いているエリアが一時的な避難場所になります。
補強アイテムの活用
家具の配置に加えて、室内をより安全な環境に整えるには補強アイテムの活用がおすすめです。さまざまなアイテムが販売されていますが、公的機関で試験済みかどうか、耐荷重、耐震性、使用年数などをチェックして、良質なアイテムを選びましょう。
ガラス飛散防止フィルム
窓やガラス製の扉などに貼ると、割れた際の飛散を防いでくれます。
キャスターの下皿
床のキズや凹みの予防目的に販売されているものですが、キャスターを固定して家具の移動を防止できるため、安全対策としても使えます。
家具転倒防止器具
転倒防止器具にはさまざまなタイプがあります。一般的に転倒防止効果が高いとされている順番にご紹介します。
①L型金具
強度が高く、行政が推奨しているアイテムですが、賃貸住宅や壁が石膏ボードである場合などは使用できない場合もあります。
②ベルト式
大型家具や冷蔵庫などに取り付けると揺れを吸収し、転倒を防いでくれるゴムベルトです。
③ポール式(つっぱり棒)
天井と家具の間を突っ張って支えます。縦にかかる力には強い一方で、横からの力にはさほど強くないため、マット式やストッパー式の器具で補強すると良いといわれています。
④マット式・ストッパー式
家具の床面に設置して転倒やズレを防ぐアイテムです。粘着性のマット式やゴム製などのストッパー式があります。工具を必要とせず手軽に取り付けられます。
3.無印良品の家の住まい手の地震対策
無印良品の家、リノベーションにお住いのみなさまへご家庭の地震対策についてお聞きしました。
Q.室内の地震対策をしていますか?
「対策をしている」と答えた方が37%という結果に。地震対策が必要だと思いつつ、なかなか取り組めていないという方が多いようです。
Q.どのような地震対策をしていますか?
・食器棚の扉にストッパーを設置
・雑貨は動かないようにジェルで固定する
・背の高い家具を置かない
・家を建てる時、背の高い収納棚は扉で隠すようにした。避難しやすいように物を置かないようにしてる。
・突っ張り棒
・割れるもの(食器など)はカップボードの中にしまいます。
4.暮らしになじむ「もしも」の備え
もしも地震が起きれば、生活も大きく変化します。「インフラが止まった時のために何を準備しておけばいいんだろう」「食料はどれくらい確保しておけばいい?」心配なことはたくさんありますよね。
備えを特別なことだと考えずに、日頃の暮らしに溶け込ませてみてはどうでしょうか。日常生活でできる備えの習慣をご紹介します。
暮らしの中でできる備え
①ベッドの近くにスリッパ・靴を用意
いざという時に素足で動き回るのはとても危険。ガラス片を踏んだり、倒壊物にぶつけてケガをしてしまうかもしれません。ベッドの下など、寝る場所の近くにスリッパや靴をしまっておけば安心です。
②ローリングストックの習慣化
食品を普段から少し多めに買ってストックしておき、賞味期限が迫ったら食べて新しいものを追加する。常に一定量の食料を家に備蓄しておくことを「ローリングストック」といいます。
自然災害時に救援物資が届くまでの目安が3日とされていますので、最低でもご家族の人数×3日分の食料をストックしておくとよいでしょう。
③玄関近くに防災グッズをしまっておく
逃げ出すときにすぐ取り出せるように、防災グッズは玄関近くに収納すると安心です。
④自動車のガソリンは半分になったら補充
地震発生時は車内避難をする可能性もあります。ガソリンが手に入らなくなることも考えられますので、日頃から補充する習慣をつけておきましょう。
⑤持ち運び型&充電式のライトを置いておく
電池式の場合はいざという時に電池切れということもありえますから、照明と一体型のモノや充電式のものなどがおすすめです。就寝時は足元で点灯させておくのも安心です。
※ご家庭でできる備えのポイントについては、こちらで詳しくご紹介しています。
5.地震の「後」の点検も忘れずに
地震後も、私たちの生活は続きます。また地震直後は問題ないように見えたとしても、家はダメージを受けているかもしれません。安全に暮らし続けるために、地震後には住まいの点検を忘れないようにしましょう。
とはいえ、ささいな異変は気が付きにくいもの。日頃から家の様子を気にしておくことも大切です。「今までと違うな」と異変を察知しやすくなります。
点検をして気になる点が見つかったら、速やかに住宅会社やインフラを管轄する会社へご相談ください。
水回り(キッチン、トイレ、浴室)
□水道の漏れはないか?
□床下の点検口をチェック。水漏れがないか?
ガス
□ガスの臭いがしないか?
電気器具
□電気コードの破損などがないか?
(すべての器具の電源をOFFにしてチェックしましょう)
壁
□ひび割れ、変形はないか
(複数のひび割れが一ヵ所に集中している場合、大きな負荷がかかった可能性があります)
□外壁の傾き、膨らみなどの変形はないか?
床
□湿っぽくなっていないか?
建具(ドアや窓)
□開閉がスムーズか?(建物がゆがんでいる可能性もあります)
庭・地面
□ぬかるみはないか(給水管などが破損して水漏れしている可能性があります)
バルコニー
□手すりのグラつきはないか?
□ひび割れはないか?
屋根
□ずれや浮き、変形はないか?
築年数の古いお宅は自治体の住宅診断を
主に旧耐震基準の住宅を中心に、自治体による木造住宅の耐震診断が実施されています。築年数の古いお宅は一度診断を受けてみてはいかがでしょうか?(内容や対象は自治体によって異なる場合があります。詳しくはお住まいの自治体へお問い合わせください)
家づくりをご検討中の方へ
住宅のベースは建物の構造にあります。だからこそ、耐震性に優れた住宅を選ぶことがとても大切です。
住宅の耐震性は「耐震等級1~3級」で表されます。耐震等級が上がるほど安心ですが、建築コストも高くなります。どこまでの性能を求めるのか、よく考えて決めましょう。
「建築基準法」で定められた地震(東京だと「損傷」で震度5強、「倒壊・崩壊」で震度6強~7を想定)に耐えられる建物。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性。災害時の避難場所として指定される学校などの公共施設は耐震等級2以上であることが必須とされています。長期優良住宅は耐震等級2以上が認定条件です。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍耐震性。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署の多くが耐震等級3を満たしています。
無印良品の家は全棟「耐震等級3」です。体育館や教育施設、大型店舗といった大規模な木造建築物の技術を住宅に応用するために開発された技術「SE構法」を採用し、耐震性の高い家づくりをおこなっています。ご興味のある方は、ぜひお近くのモデルハウスまでお問い合わせください。