「縦の家」グッドデザイン賞受賞 ~ 無印良品の家が目指す「家づくり」~
「縦の家」が目指したもの | 2014.10.14
「グッドデザイン賞」とは
2014年度のグッドデザイン賞が発表され、無印良品の家「縦の家」は、全1,258件の受賞作品の中から、さらに、独自性、提案性、審美性、完成度といった点で評価の高い「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。
グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する総合的なデザインの推奨制度です。もともとは、「工業製品」が対象だったのですが、現在ではその対象はデザインのあらゆる領域にわたり、家電やクルマなどの工業製品から、住宅や建築物、各種のサービスやソフトウェア、パブリックリレーションや地域づくりなどのコミュニケーション、ビジネスモデルや研究開発など、有形無形を問わず、人によって生み出されるあらゆるものや活動を対象としています。
今回受賞した無印良品の家「縦の家」は、「住宅・住空間/住宅・住空間向けの建築工法」の部門での受賞となります。
無印良品の家が目指すデザイン
無印良品の家が目指す家のデザインは、一言で言うと「売るためのデザインではなく、買った後、快適に住むためのデザイン」であると考えています。
「縦の家」もその考え方を踏襲しており、今回の「グッドデザイン・ベスト100」の受賞もそこを評価されたものと考えています。
無印良品の家では、「永く使える、変えられる」家を提案するという商品コンセプトを実現するために、耐久性・耐震性・快適性とメンテナンス性を備えたうえで、「普遍的なデザイン」を満たす「家のかたち」を追求しています。
その結論の一つが、「縦の家」であり、コラム「縦の家が目指したもの」にあるように、そのデザインの一つ一つのかたちや素材には、コンセプトに基づく確固たる「理由(わけ)」があります。
これは「縦の家」に限らず、「無印良品の家」全ての商品に共通しており、無印良品の家が目指す家づくりとは、この一つ一つに「理由(わけ)」のあるデザインをきちんと再現し実現していくことだと考えています。
「家のかたち」の再現性と合理化
木造住宅の特長は、木材そのものがエコで、軽さと強靭さを兼ね備え、かつ加工しやすい、という点です。古くからこの木造住宅に慣れ親しんできた私たち日本人は、この特性、特に加工性の自由さをよく知っています。工場で生産された部材を現場で組み立てる、いわゆる「工業化住宅(プレハブ住宅)」であれば、工場でつくる部材形状を簡単には変えられないので、メーカー側で考えられた家のデザインを基本的には受け入れるのが普通です。これに対して、「木造住宅」の場合は、住まい手の思い通りのかたちで建てる、というのが一般的です。
無印良品の家が「木造住宅」でありながら、この「原型となる家のかたち」の再現性にこだわっている理由は、一つ一つ理由(わけ)のある「かたち」が、きっと住まい手の暮らしを豊かにすることにつながる、と信じていることに加えて、木造であっても各部材をパターン化することで、それに伴う施工プロセスが合理化され、品質の確保や、コスト管理につながるからです。
「工業化住宅(プレハブ住宅)」は、大半を工場でつくり込むという合理性が先にあって、必然的に「家のかたち」は半ば強制的に再現されています。しかし、「無印良品の家」は、形状自由な「木造住宅」でありながら、豊かな暮らしのために「原型となる家のかたち」の再現にこだわる結果、合理化が後からついてくる、という全く逆のプロセスを目指しているわけです。
本質は変わらない
無印良品の家「木の家」も同じ考えのもと、合理的な施工性を目指して開発・販売され、今から10年前の2004年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。
無印良品が家づくりを始めるにあたり、家の本質をかたちにした原点と言うべき家がこの「木の家」です。「木の家」の「原型となる家のかたち」が、発売当初の10年前とほとんど変わらずに今もいたるところで建てられているのは、的確に家の本質を実現していたからだと自負しております。
今回、グッドデザイン賞を受賞した「縦の家」も、これからずっとこのかたちのまま街に移植され、たくさんの豊かで感じ良いくらしの拠点になっていけるよう、ひとつひとつ丁寧につくっていきたいと考えています。