
もしもに役立つ電気設備の基礎知識|分電盤・ブレーカー
住まいのかたち | 2025.4.28
「みんなでつくる住まいの手引き」では、快適な暮らしに役立つ知識や住まいを長持ちさせる適切なお手入れ方法をお伝えします。無印良品の家のスタッフによるノウハウと、実際のご入居者さまのアイデアもご紹介します。
あなたも一緒に「賢い住まい手」を目指しましょう。
今回のテーマは「もしもに役立つ電気設備の基礎知識|分電盤・ブレーカー」です。建物の電気の流れを管理している分電盤。普段はあまり気に留めることはないかもしれませんが、異常が起きた場合や災害時には設備のチェックが重要になります。もしものときに慌てないために基礎知識を知っておきましょう。
1.無印良品の家の住まい手に分電盤・ブレーカーについて聞いてみました。
2.分電盤のしくみとお手入れ
3.こんなときは分電盤をチェックしよう
4.もしもに役立つ分電盤・ブレーカーの防災対策
1.無印良品の家の住まい手に分電盤・ブレーカーについて聞いてみました。
無印良品の家の住まい手のみなさんに、お住まいの分電盤・ブレーカーに関するアンケートを実施しました。「分電盤の設置場所を知っていますか?」という質問には「知っている」と答えた方は全体の約8割でした。またブレーカーが落ちた際の状況についてもご回答いただいています。消費電力の大きな家電を同時に使うと、ブレーカーが落ちる可能性があります。住まい手さんの回答も参考にご注意ください。
(アンケート:2025年4月インスタグラムにて実施)
Q.ご自宅の分電盤の場所を知っていますか?
Q.どのような時にブレーカーが落ちてしまいましたか?
・IHコンロとドライヤーを一緒に使ったとき
・トースター、電子レンジオーブン、電気ケトルのいずれかを2つ同時に使用したとき
・IHの火力が高い時にエアコンと電子レンジを使ったとき
・ドライヤーと洗濯乾燥機を使ったとき
・食洗機、ポット、ストーブやドライヤーなど3つを同時使用したとき
2.分電盤のしくみと取り扱い方
分電盤とは、電力会社から供給された電気を各部屋に分配する設備です。分電盤には必要な時に電気を遮断するブレーカーが設置されています。分電盤は、電気の分配だけでなく電気の使い過ぎや漏電をチェックする機能も備えており、電気を安全に供給するための重要な役割を果たします。
分電盤のしくみを知ろう
アンペアブレーカー(サービスブレーカー)
建物全体の電気の総量を管理する装置です。電力会社と契約した電力(アンペア値)を超えると、事故を防ぐために自動的に電気の供給を遮断します。
漏電ブレーカー(漏電遮断器)
回路内の漏電を感知して電気を遮断する装置です。通常、電気の通り道を塩化ビニールなどの絶縁物(電気を通さない性質のもの)で覆って漏電を予防しているのですが、絶縁物が劣化したりすると漏電が起こることがあります。
安全ブレーカー(配線用遮断器)
各部屋・各コンセントの回路への電気供給を管理する装置です。たとえば、リビングの回路に容量以上の電気が流れると、リビング用の回路だけを遮断して、建物全体の電気供給が止まることを防ぎます。
Q.分電盤はどこに設置されている?
多くは玄関、洗面所、キッチンなどに設置しますが、状況によっては靴箱のように目立ちにくい場所へ設置する場合もあります。
Q.分電盤のお手入れは必要ですか?
スイッチにホコリが溜まると、火災や感電を引き起こす場合があります。時々スイッチまわりをチェックして、ホコリがあればやわらかめのブラシや布などでやさしくふきとりましょう。
3.こんなときは分電盤をチェック
突然電気が使えなくなった場合、まずは分電盤をチェックしましょう。漏電が疑われる場合は、なるべく早く電力会社へ点検を依頼した方が安全です。
家の一部の電気が使えない
器具の不良によるショート、または該当する回路(部屋やコンセント)の電気使用量がオーバーした可能性があります。安全ブレーカーが落ちていたら、落ちていた回路で使っていた電気器具の電源を全て一度切ってから、再び安全ブレーカーのスイッチを入れましょう。
※部屋の中で一つだけライトがつかないなど、特定の器具だけつかないという場合は器具自体の接続不良が考えられます。器具のコードやソケットをチェックしましょう。
家全体の電気が使えない
一時的に契約アンペアを超える電気使用量を超えてしまい、アンペアブレーカーや漏電遮断器が落ちた可能性があります。一度に使う電気器具を減らすなど、電気使用量を減らしてから再びアンペアブレーカーと漏電遮断器のスイッチを入れましょう。
漏電ブレーカーが途中まで落ちていたら要注意
分電盤をチェックした際に、漏電ブレーカーが途中まで落ちている場合、漏電の可能性があり危険です。ご家庭でどの回路が漏電しているのかをチェックして、なるべく早く電力会社へ点検を依頼しましょう。
【漏電している回路をチェックする手順】
▼安全ブレーカーを全て落とす
▼漏電ブレーカーのスイッチを入れる
▼安全ブレーカーのスイッチを一つずつ入れていき、漏電ブレーカーが落ちる回路を確認する。
▼漏電ブレーカーが落ちた回路の回路ブレーカーは落としたままにして、他の安全ブレーカーのスイッチを入れる。
ブレーカーが落ちるのを防ぐポイント
①消費電力が大きい家電を知っておく
消費電力が多い家電を同時に使ったり、同じコンセントで使うとブレーカーが落ちてしまう場合があります。
【消費電力が大きい家電(一例)】
・トースター
・炊飯器(炊きあがりのタイミング)
・電気ケトル
・オーブン
・卓上IHコンロ
・ドライヤー
・洗濯乾燥機
②消費電力が大きい家電を同時に使いたいときの対策
使う部屋を分けられるとよいですが、消費電力が大きいものはキッチン家電が多いという点も注意が必要です。これから家づくりする方は、コンセントの配置や数にも気を配ってみてください。
Q.漏電の兆候とは?
急に電気代が高くなったり、室内の金属にふれるとピリピリするような場合は漏電の可能性があります。電力会社へ点検を依頼しましょう。
4.もしもに役立つ電気設備の防災対策
突然、地震や台風などの自然災害に襲われたらパニックで何をしてよいかわからなくなってしまうかもしれません。特に災害で停電した場合は復旧時に注意が必要です。コードや電気製品の破損による通電火災などの二次災害の危険があります。そこで、もしものときに役立つ電気設備の防災対策をご紹介します(参考:政府広報オンライン)。
災害が起きたらまずすること
①避難などで家を離れる際には必ずブレーカーのスイッチを切る
②停電したら、すべてのコンセントからプラグを抜く
③浸水した屋内の配線や電気製品は使用しない
安全に電気を復旧させる手順
安全に電気を復旧させるために、すべてのブレーカーのスイッチが切れていることを確認したら、以下の順番でスイッチを入れます。
①アンペアブレーカーのスイッチを入れる
②漏電ブレーカーのスイッチを入れる
③安全ブレーカーのスイッチを一つずつ入れる
安全ブレーカーのスイッチを入れた際に、漏電ブレーカーが落ちてしまう場合は、問題のある安全ブレーカーを切りましょう(漏電の可能性あり)。