インフラゼロハウスが南花台団地にやってきた

住まいのかたち | 2025.9.25

大阪府河内長野市の高台に広がる南花台団地。 その一角に、約600kmの移動を経て、インフラゼロハウスが設置されました。

水や電気を自給しながら、どこでも好きな場所で暮らせる未来の家「インフラゼロハウス」。 UR都市機構とMUJI HOUSEが連携し、団地やまちなかでの活用可能性を探る共同実証実験が、ここ南花台団地で始まりました。

UR都市機構との共同実証実験の目的や内容については、別のコラムでもご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

南花台団地について

南花台団地は、河内長野市中央部の高台に位置する、総戸数800戸を超える団地です。

現在は「咲っく南花台プロジェクト」として、産官学民が連携した地域住民主体のまちづくり事業が進行中。団地再生の一環として、(仮称)南花台中央公園や女子サッカーチームのスタジアムなどの整備も予定されています。

地域内の移動支援として、低速電動カートを活用した南花台モビリティ「クルクル」の運行も行われており、ICTを活用したスーパーシティ構想の実現に向けた取り組みも進められています。

また、コノミヤ南花台2階にある地域のコミュニティ拠点「コノミヤテラス」では、誰もが気軽に立ち寄れる地域交流の場として、住民や学生、行政、企業などが協働して運営しており、少子高齢化が進む中で住民同士が支え合うまちづくりとして注目されています。

そんな「これからの暮らし」に向けた取り組みが進む南花台団地で、インフラゼロハウスを活用した実証実験がスタートしました。

インフラゼロハウスが南花台団地にやってきた

今回の実証実験では、団地における新たな防災・減災のあり方や、地域活性化などに必要な要素を探ること、また、防災意識の向上・環境配慮の推進、くらしのつながり醸成を目的に、南花台団地に「リビング棟」を設置しました。

リビング棟には、太陽光パネル・蓄電池と、バイオトイレがあり、エアコンなどの電気を自給しながら使うこともできます。

内部にはMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトで共同開発された“麻畳(あさだたみ)”を導入。 麻畳は、畳の表面に麻を使用した自然素材の床材で、カーペットのような印象と、直に座っても心地よい質感が特長です。和室にも洋室にもなじみ、床座でも椅子座でも快適に過ごせる、柔軟な暮らし方に対応する素材です。

共同実証実験メディア発表会

2025年8月31日、南花台のスーパーマーケット「コノミヤ南花台店」1階にて、共同実証実験のメディア発表会とトークイベントが開催されました。

発表会には、インフラゼロハウスの設置に向けた手続きや実証実験期間中の運営等において多大な協力をいただいた河内長野市長の西野 修平様、UR都市機構 理事・西日本支社長の高原 功様、MUJI HOUSEからは取締役 商品開発部長の川内 浩司が登壇しました。

UR都市機構 理事・西日本支社長 高原 功様

株式会社MUJI HOUSE 取締役 商品開発部長 川内 浩司

河内長野市 市長 西野 修平様

インフラゼロハウスの前でフォトセッション

インフラゼロハウスの中で寛ぐ西野市長

発表会の後には、近隣住民向けのトークイベント「ひらめきラボ インフラゼロハウスで何ができるか開発者と考えよう」を開催。 夕方の時間帯にもかかわらず、20組近い方々にご参加いただき、関心の高さがうかがえました。

イベント終了後には、インフラゼロハウスの見学とともに、活用アイデアについてのアンケートも実施しました。

実証実験開始後

実証実験の開始後、インフラゼロハウスは地域の方々によってさまざまな用途で活用されています。運営窓口は、「コノミヤテラス」が担います。

たとえば、初日には「まんが図書館」としての活用が行われました。

コノミヤテラスの関谷さん(一般社団法人カンデ代表)の私物(なんと約2,000冊のマンガを所有しているとのこと)を持ち込み、子どもたちが集まる場として開放。

インフラゼロハウスの仕組みを説明した後、発災時に必要なものに関するアンケートボードにシールを貼ってもらうなど、防災についても楽しく学べる場となりました。

快適な空間を通じて、防災や環境について考えるきっかけをつくる——そんな役割を、インフラゼロハウスが担い始めています。

期間中は、地元の福祉委員会や事業者等による交流カフェやものづくり体験ワークショップ・出張コノミヤテラスなどの地元活用、URグループ会社連携や河内長野市による防災啓発イベントなども予定されています。

今後の展開

南花台団地での実証実験は約1ヶ月間行われ、その後は和歌山県和歌山市の「北ぶらくり丁」へと移設される予定です。 商店街の空き店舗や公共空間など、まちなかでの設置を通じて、地域の活性化や新しい使い方の提案が期待されています。

今後も「住まいのかたち」コラムで実証実験の様子をお届けしてまいりますので、ぜひご期待ください。