暮らしになじむ防災「いつものもしも。」はじめませんか?
住まいのかたち | 2023.8.29
9月1日は防災の日。みなさんはどんな「備え」をしていますか? よく目にする防災リュックなどの“防災グッズ”はシルバーやオレンジなど目立つ色で、暮らしになじまないイメージがあると思います。きれいに整えたお部屋にそぐわないと、せっかくの防災グッズも手の届きづらい場所に収納されてしまいがち。そこでご紹介したいのが、無印良品の防災プロジェクト「くらしの備え。いつものもしも。」です。今回は「いつものもしも」の商品開発にも携わる、良品計画ソーシャルグッド事業部の本田さんに、暮らしの備えについてお話を伺いました。
「くらしの備え。いつものもしも。」プロジェクトとは?
「このプロジェクトは、“防災=特別なもの”という意識を変え、いつも使えるものでもしもの時に備えることを提案しています。楽しく防災を学べるイベント『いつものもしもCARAVAN』も全国各地で開催しています。
災害というのは、初めてのときが本番。だからこそ被災された方の声はとても貴重な情報です。東日本大震災で被災した各県、熊本地震で被害があった益城町などへ出向き、被災された方が本当に困ったことをヒアリングしています。実際に“普通のスリッパで避難しようとして怪我をした”という声を参考に開発したのが『防災スリッパ』。走っても脱げないようかかと付きに、ソールは安全靴の基準を満たしたものを採用しました。
しかしこの防災スリッパも、非常用として防災バッグの中に入れられては意味がありません。毎日使えるよう、シンプルでくらしになじむものにしています。いつものスリッパなら、緊急時も履きやすいですよね。これが“いつも使えるものでもしもの時に備える”、私たちの考える防災です」(本田さん、以下同)
玄関・土間はすっきりと備えよう
ここからは本田さんのコメントを交えつつ、実際に家の各所でできる「備え」についてお伝えします。
まずは玄関・土間から。「災害時は、とにかく移動をしやすくすることが大切です。すぐに手に取りやすい場所にヘルメットや上着を置いておくと良いでしょう。また、両手がふさがらないようになるべく身軽に避難が出来るようなアイテムを用意しておくのがおすすめです。」
『いつものもしも持ち出しセット』は、安全な場所へ避難する際に必要な11点をセットにしています。撥水サコッシュに中身を全て入れ、わかりやすい場所にかけておきましょう。シンプルな黒いサコッシュはインテリアも邪魔しません。
「避難時は両手を空けておきたいので、“サコッシュに入るサイズのもの”という基準でアイテムを選定しました。同じ理由で、頭につけたりクリップで留められるコンパクトヘッドライトも採用しています」
「パッケージは内側をラミネート加工し、非常時に水を運んだり、濡れたものを入れられるチャック付きバッグにしました。これも畳んでサコッシュに入れておいてください」
水を弾く撥水素材のコートには、11個のポケットを付けました。必要なものを各ポケットに入れておくのはもちろん、寒さをしのぎたいときには新聞紙を入れたり、腰のポケットにタオルを入れればクッションの役割も。
避難時に頭を守るためのヘルメット。畳むとA4サイズになるため場所を取らず、玄関に出しておいても違和感なく調和します。
「私も自宅に家族分4つを並べて置いています。コンパクトですが、厚生労働省が定めるヘルメットの規格をクリアしています」
リビングのインテリアにもなじむ備え
「いつものもしも」防災グッズで大切にしていることは、とにかく暮らしに馴染むこと。無印良品の人気商品『ポリプロピレンファイルボックス』と同じサイズで作られた『いつものもしも備えるセット』なら置き場所にも困りません。
『備えるセット』は、『持ち出しセット』に非常用トイレやタオルなど4アイテムをプラスした、自宅避難時を想定したセット。リビングの見える場所に置いても違和感のないシンプルなデザインです。
「1年に1度、セットの中身を点検しましょう。除菌シートが乾いていないか、電池は残っているか、連絡先に変更はないか。“毎年この日に点検する”と家族で決めておけば防災の意識も高まり、集合場所などのもしもに備えた会話も生まれます」
また、普段の生活の中でも使えるアイテムとして、人感センサーでライトが点灯する『マグネット付センサーライト』もおすすめです。真壁の「木の家」なら、柱のビスや金物にもマグネットでつけることができます。
「マグネットなので、非常時は取り外して手元や足元を照らすこともできます。家に1つあると日常的に使えて便利なアイテムです」
キッチンには、非常時こそ食べなれた品を
では、キッチンに備えておきたいものは?
「いわゆる“非常食”なものを食べると、特殊な状況を余計に実感してしまう、という声も多く聞きます。レトルトやフリーズドライの食品を少し多めに買って、ストックしておきましょう。賞味期限が迫ったらおいしく食べて、新しいものを追加する“ローリングストック”を習慣化するのがおすすめです」
「カレーをはじめとした無印良品のレトルト食品は、普段から召し上がっている方も多いのではないでしょうか。食べなれたおいしい食事をとることで、非常時も冷静に過ごすことが出来ます」
「火器の近くに置いておきたい消火器ですが、赤色だとお部屋から浮くのでつい奥の方にしまってしまい、緊急時に取り出せない、ということも。外装をお部屋になじむ色にすることで、部屋の雰囲気を損ねず手前に置いておけます。また、消火器には使用期限がありますが、古い消火器を処分するのは意外と大変です。無印良品では、消火器を購入していただいた方を対象に、使用期限が切れた消火器を店舗で回収する取り組みも行っています」
寝室はやさしいあかりで
続いては寝室の備え。「枕元のライトも災害時使えるものを置いておくとよいですね。また、転倒の可能性を考えると、家具は胸の高さより低いものがおすすめです」
持ち手付きのLEDライトは土台から離れると自動で点灯するので、地震などで倒れたときに足元を照らしてくれます。
「読書灯として普段から使えます。また寝室は人が横たわる分、家具は胸より低いものにしておくと安心。万が一倒れてしまっても被害を抑えられます」
こだわりの家にこそ、こだわりの防災を
「いつものもしも。」は、ほかにもたくさんの防災に役立つ商品を提案しています。また「持ち出しセット」や「備えるセット」に入っている商品はすべて単体でも販売されており、新品に交換したり、追加することもできます。今年の防災の日は、住まいの中の備えを見直してみませんか?