持家は、資産でしょうか? 負債でしょうか?

コラム | 2020.9.15

もう、いまは昔の話になってしまいましたが、日本では、高度成長期~列島改造景気~バブル景気時代に、「持家」=「資産」であることを疑う人はいなかったのではないでしょうか(正確には「家」ではなく家をのせた「土地」=「資産」だったのですが)。
なぜなら、その時代は、土地は必ず価格が上がるもの、だったからです。

「日本人は『資産』と『財産』を区別する感覚が希薄」といわれることが多いようですが、それはこの時代の影響が強いのかもしれません。
「財産」とは高額な所有物を指すことが多いですが、もっと広義で、負債や金銭的価値のないもの(社会的には価値がなくても、所有者にとって意味、思い入れのあるものなど)も含みます。
しかし、「資産」とは一言でいうと、「お金を生むもの」または「常に価値(価格)が上がり続けるもの」というのが一般的な定義です。
ですから、どんなに高額なモノでも、それ自身がお金を生まなければ、「資産」ではないといえます。
例えば、「現金」でさえも(経理上の貸借対照表(バランスシート)では必ず「資産」として扱われますが)タンス預金のように全く利子も何も生まない場合、「資産」ではない、という見方もできるのです。

「持家」の場合、「土地は必ず価格の上がるもの」だったバブル時代には、たしかに「資産」といえたでしょう。
しかし、「土地の価格が必ず上がる」というのが、もはや神話となってしまった現代では、その土地に建つ「家」も、日本独特の不動産査定ルール(「家の価値について考える」参照)により経年に比例して価格が下がる時代では、「持ち家」は、財産ではあっても、「お金を生む資産」ではなくなっている、といえそうです。「資産」どころか、毎年確実に金銭的価値を失い、その家を買うために負った借金だけが残る「負債」である、という見方が最近では主流かもしれません。
実際、いま「資産価値」というキーワードでネット検索をすると、家の価格に関する記事がたくさんヒットします。それだけ、「家の資産価値」について疑問や不安を感じている方が多い、ということではないでしょうか。

しかし、便利さや快適さを得るための家電やパソコンなどの消費財に資産価値を求めないように、家についても「こだわりの我が家で家族が集いリラックスすることで日々の活力を養う」という使用目的を達成していれば、「資産」ではなく消費財として「かけがえのない財産であればよい」という考え方もあるかもしれません。
逆に、そうはいっても家には数千万円という、家電などとは比べ物にならない大きなお金をかけるのだから、「資産」としての価値がないと、結局豊かな暮らしには結びつかない、とも考えられます。

いまの日本で、30年の住宅ローンで購入した家が、「資産」として成り立つのは家賃分のお金を生むとき、とわかりやすく考えれば、それは「住宅ローンが終了してから」となります。ということは、家が「資産」であるためには、物理的な耐久性だけではなく、30年経ってもなお「住みたい家」であるために、先を見越したデザインやメンテナンス性を考えておかなければならない、といえるのではないでしょうか。

そんな30年より先のことを考えて、無理に資産価値を考えなくても、家は、たとえ「負債」と揶揄されようと「いま最も欲しい心地よさを与えてくれる唯一無二の財産であればよい」と考えるのか、やはり先の先まで考えて資産価値のある家としたいのか、みなさんはどちら派でしょう?
この、家を「資産」と考えるか否かで、ずいぶんと家のつくり方が変わってくるように思います。
ぜひ、みなさんのご意見をお聞かせいただければと思います。