「理想の家」は、お金持ちだけのもの?
住まいのかたち | 2019.4.16
無印良品の家で実施した、第4期第8回「理想の家」についてのアンケートでは、今回も8,925件ものご回答いただきました。いつもながら、ご協力本当にありがとうございました。
家づくりを進めるにあたり、避けて通れない資金計画ですが、今回の「理想の家」についてのアンケートでは、「限られた費用の中で生まれる理想の家とのギャップ」についてみなさんと一緒に考えてみよう、というものです。
実際に購入する家と理想とする家とにギャップが生じるのは、予算が限られているからなのでしょうか。
もし、そうだとすると、
- 「予算が限られているから、妥協せざるを得ない」
- ↓
- 「予算が潤沢にあれば全ての要望を満たせる」
- ↓
- 「お金持ちだけが『理想の家』を手に入れられる?」
ということになります。本当にそうなのでしょうか?
またそうだとすると、家づくりのための資金計画をどのように立てて実践しているのでしょうか? そんなことをアンケート結果から検証してみます。
今回のアンケートで、戸建てを購入した方が「希望通りに実現した」と回答した項目を、割合に並べてみたのが下の表になります。
戸建てを購入した方
まだ住宅を購入していないが検討をしている方が、理想の家として考える要望のうち「これだけは譲れない」という回答の割合(住宅の購入資金を度外視して「絶対実現したい」を選択した人が、予算オーバーしたときに「絶対妥協できない」を選ぶ割合)が高い順に並べてみたのが下の表です。
住宅の購入予定があり、かつ、戸建てを検討している方
これらの「実現したい要望」を全て叶えるのは物理的には可能です。
つまり、「こちらを立てればあちらが立たず」というような、相反する項目ではないので、「限られた予算の中で」どの項目にお金をかけたいのか、あるいはかけられるのか、妥協できるのか、という「優先順位」をあらわしているともいえそうです。
しかし、各項目を見ていくと、費用をかければ理想の家を実現するとはいえないものもありそうです。
例えば、「希望する内装デザイン」や「希望する建物の外観デザイン」ですが、これらは、住む方の嗜好と、それに応えるデザイナー・建築家の力量や相性によるところが大きく、お金をかければ実現するとはいえないものの代表格ではないでしょうか。購入者の「妥協した・変更した」割合が、間取りや広さとともに多いのもうなずけます。
一方で、絶対実現したい項目の上位3つに上がっている、「耐震性」は構造に、「日当たりが良い」は敷地条件や窓の大きさに、「断熱性」は断熱材や断熱サッシに、それぞれある程度の費用をかけなければ実現できないでしょう。
このように、項目すべてに費用をかければ理想の家になるわけではないのであれば、それらに「限られた予算の中で優先順位をつける」のではなく、費用のかけどころは「家の基本性能」や「敷地条件」に集中させて、デザインや間取り、設備は、自分と感性の合うプロに提案してもらうこと、そして「イメージと違った」ということが後から起きないように、できれば(無印良品の家のように笑)提案された家にごく近い実例を自分の目で観ること、さらにそこに実際に住まわれている方のご意見を聞きながら決定していくことが、理想の家を実現する「コツ」かもしれません。
さて、「費用のかけどころ」を集中させるにしても、家を建てるには一生のうちで最も高い費用が必要であることにかわりはありません。
今回のアンケートでは、家の購入を検討されている方が、住宅にかけるお金についてどのように想定されているかもお聞きしています。
住宅にかける月々の金額について、20~39歳にしぼって比較しました。
住宅にかける月々の金額[20~39歳]
実際に住宅を購入した方で最も多いのは6~8万円で46%、住宅を検討している方も45%とほぼ同じです。
この結果だけ見ると、すでに購入した方(購入者)、これから購入する方(検討者)の差があまりなく、なかなか的を射ていそうです。しかし、住宅の支払い期間(ローン期間)を見てみましょう。
住宅の支払い期間(ローン期間)[20~39歳]
実際に住宅を購入した方(購入者)の支払い期間は「35年以上」が76%と多数を占めるのに対し、住宅を検討している方(検討者)が想定している支払い期間を「35年以上」と想定している方は23%です。
本アンケートでは、住宅を購入した方には、購入当初の支払い期間を回答いただいているため、繰り上げ返済の計画や実行については考慮していないものになりますが、それにしても住宅購入における月々の支払い金額と支払い期間には、購入者と検討者で大きな差があるようです。
ちなみにですが、住宅購入を検討している方(検討者)の月々の支払い金額や支払い期間の具体性については、以下のようになっています。
住宅購入を検討している方の、支払額と期間についての具体性[20~39歳]
今回のアンケートから、限られた予算の中で理想の家と実際に購入できる家のギャップを小さくするためのコツは、以下になるのではないか思われますがいかがでしょうか。
- 家の耐震性や断熱性能などの家の基本性能、日当たりなどの敷地条件を優先する
- デザインや間取り、住宅設備については自分と感性の合うプロのアドバイスを受け、できれば自分の計画に近い実例を確認し、実際にそこに住んでいる方の意見を参考にしながら計画する
- 住宅の購入資金は現実と理想に差があるので、将来の人生設計とともにプロに相談し、自己資金やローンをどのように組んで、家の購入にどのくらいの費用がかかるのかを見定める
みなさんは、「理想の家」の実現のためには何が必要と考えますか。第4期第8回「理想の家」についてのアンケートの結果レポートも公開しています。ぜひ引き続きご意見をお聞かせください。
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