暮らしのかたち・家のかたち(1)
住まいのかたち | 2015.4.28
家を建てるなら
家を建てると決めたときから、「どんな家にしようか」という楽しくも苦しい試行錯誤が始まります。
もちろん全て思うとおりに建てられるわけではありません。建てる場所、予算、住む人、などの様々な制約が入り乱れ、みんな悩むのです。
全ての望みがかなえられるわけではないので、優先順位をつけましょう、とよく言われます。そこで、家を建てることになったらかなえたい望みを、欲しい順番に並べてみたりします。たとえばこんな感じでしょうか。
1:地震に強い家にしたい。
2:子供が二人できても良いように、子供部屋は小さくてもよいから2部屋欲しい。
3:主寝室はできれば8畳欲しい。
4:キッチンは対面式で。
5:リビング・ダイニングは来客を考えて16畳くらいで、とにかく明るくしたい。
6:ダイニングテーブルは食事以外にも、家族みんながいろいろ使えるように、大きいものを置きたい。
7:できれば、パソコンや家でちょっと仕事のできる書斎スペースが欲しい。
8:自転車やスキー・ゴルフ道具を入れておく土間収納も欲しい。
このように要望を整理していくことはとても大切なことですが、「欲しいもの」から考え始めると、スペースや予算などの関係で、あちらを立てればこちらが立たずになり、「書斎は諦めよう、ダイニングテーブルもそんなに大きなものはいらないか。主寝室を8畳取ると、子供部屋2部屋はどうしても無理だな」という「諦める」作業が始まるわけです。
「欲しいかたち」でなく「どんな暮らしがしたいか」で考える
家の設備仕様や、かたち(間取り・デザイン)は、理想の暮らしを達成するための手段でしかありません。ですから、「どんな家にするか」考え始めるときに、上記のように「欲しいかたち」を列挙するのではなく、まず自分は・家族は、新しい家で「どんな暮らしがしたいか」ということを考えてみてはどうでしょうか。
そうはいっても、「こんな暮らしがしたい」を並べると、たとえばこんな漠然としたことになるかもしれません。
1:安心・安全な暮らしがしたい。
2:いつも快適に暮らしたい。
3:笑いの絶えない楽しい暮らしがしたい。
4:お金にゆとりのある(困らない)暮らしがしたい。
これでは、具体的にどんな家を建てたらいいのか、さっぱり見えてきませんね(笑)。
しかし、遠回りかもしれませんが、このように「こんな暮らしがしたい」という「目標」を整理・確認することから始めると、自分たちにとって「本当に必要な家のかたち」が見えてくるのではないでしょうか。
家を建てるときに、「欲しいもの」を家のかたちにあてはめていくと、取捨選択をせざるを得なくなりますが、「どんな暮らしがしたいか」には「家のかたち」と密接に関わりますが、優先順位はありません。安心・安全と引き換えに、快適を手に入れる、ということではないのです。家を手に入れることは、理想の暮らしを手に入れることなのですから。
これら4つの「こんな暮らし」は、ほとんどの家を建てようとする方にとって共通の目標なのではないでしょうか。つまり、これらを同時に達成できる家のかたちを追及することは、個々の人や家のためだけの特別なことではなく、「本当に必要な家のかたち」を導き出すことにつながるのではないか、とも思われます。
本当に必要な家のかたちを考える
「こんな暮らし」を並べただけでは、まったくかたちが見えてこないので、少しずつ具体的に解きほぐしていく必要があります。
たとえば「4:お金にゆとりのある暮らし」という望みを具体的にかなえるためには
・貯蓄計画などを総合的に考慮し、また税金や金利・保険の優遇なども検討し、家にかけられる費用をはっきりさせる。
・永く住める家にする(資産価値を失わない家にする)。
・将来にわたっての維持費・光熱費などのランニングコストが極力かからない家にする。
ということを考える必要があることが見えてきます。
これでだいぶ具体的になってきました。永く住める家、ランニングコストが極力かからない家を実現することで、家にかけられる全体の費用計画に大きく影響します。
お金にゆとりのある暮らしを手に入れながら/安心安全で/いつも快適で/笑顔の絶えない楽しい暮らしを実現できるような「家のかたち」について、何回かの連載で考えていきたいと思います。ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。