シェアハウスという暮らし方

コラム | 2014.2.18

今回はシェアハウスについて考えてみたいと思います。

上の写真は、若手建築家の成瀬友梨さん、猪熊純さんの手がけた愛知県名古屋市にあるシェアハウス「LT城西」です。一人一人の専有面積は12m²と一見小さいのですが、水まわりを共有することで全てが居室として利用できます。シェアハウスの入居者13人で使える共有居室空間は103m²、様々なタイプの空間が用意され、みんなが集まっても、また一人で過ごしても居心地の良い空間がつくられています。
シェアハウス「LT城西」は、こうして広々と見える共有空間を持ちながらも、全体の広さを入居者の数で割ると、名古屋での通常のワンルームマンションよりも高密度になっているのです(延べ床面積307m²、一室専有面積12m²、共有居室面積103m²、その他は共有の玄関や水まわり)。

たしかに、自由でないと感じる部分もあるでしょうが、ものを利用するという視点で考えれば、ものを一人一人で持つよりもみんなで共有して持てば、ずっと合理的です。
たとえばキッチンにしても、ワンルームの賃貸住宅であれば小さなミニキッチンかもしれませんが、こうしたシェアハウスなら13部屋分に相当する、一つの立派なキッチン設備をもつことも可能なわけです。様々なものをシェアすることによって、グレードの高いものを持つことができるのです。ちょっとの我慢で多くの豊かさを得ることになるのです。

こうした考え方が浸透しつつあるのはどうしてでしょうか。かつては多くの日本人は、ものを所有するという高い欲求を持ち続けてきたと言えるでしょう。家も車もテレビもなにもかも自分で所有したかった時代があったはずです。いろいろなものが個人所有へと向かって、日本の消費は伸びてきたのです。
しかし、今の成熟した日本人の意識は変わりつつあるのかもしれません。所有から利用の時代と言う人もいます。またプラバシーも、今までは強化しようと言うのが普通でしたが、あえてプライバシーを開いていく取り組みも多く見られます。

とはいえ本当に若い人たちは、共同で人と住むのが得意になりつつあるのでしょうか。成瀬さん、猪熊さんのお二人は、日本のシェアハウスの増加の理由を、シェアは得意でないからこそ運営の仕組みや魅力的な建築が必要だと言います。たしかに若い頃からシェアルームなどが盛んな国では、あえてシェアハウスなどと言わなくても、友達や知り合い、中には知らない人たちでも共同でひとつの家に住むような暮らし方をしている人は多いのです。

日本でも徐々に増えつつある、シェアハウスという暮らし方。実際に住む人が増え、その楽しさや安心な暮らし方に一度触れ、少しずつこうした暮らし方をする人たちが増えていくでしょう。さらに共同で住むことを体得した人々が年齢を重ねるにつれて、若者だけでなく高齢者や多世帯で住むような暮らし方も増えていくにちがいありません。

合理的で楽しいシェアハウス。いつも人のいる安心感など、頭ではわかっていても、「所有したい、プライバシーを保ちたい」という今までの欲求との2つの間でいろいろな受け止め方がおきるでしょう。そうした葛藤の中で、気持ちを動かすのが建築の役割とも言えるのではないでしょうか。今回紹介したシェアハウスのように、建築的な魅力を備えることでそのハードルが低くなるとも言えます。きれいに整った空間だと、それをきれいに保っていこうというのも人間の心情です。

MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでは、大阪のシェアルームに1年無料で住むモニター企画を行っています。これは、リノベーションした部屋を3人でシェアルームとして住むというプロジェクト。「団地のシェアルームに無印良品で暮らしています。」ブログレポートでこの日常を情報発信しています。今回ご紹介した多くの人と住むというのとはまた違って、若い世代が合理的に安く住むことが大きなメリットになるでしょう。シェアハウスには様々なかたちが芽生え始めています。

皆さんは、どう思いますか。皆さんのまわりではシェアという考え方は広がっていますか。
シェアハウスという暮らしについて皆さんのご意見をお寄せください。