洗濯機はどこに置くのでしょうか?

住まいのかたち | 2008.10.14

洗面脱衣室に置かれるのが一般的
皆さまの家では、洗濯機はどこに置いてありますか。洗面脱衣室でしょうか、またはキッチンの近くでしょうか。なかには、ベランダや物干しの近くに置いている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一般的にはかなりの方が、風呂場に隣接する洗面脱衣室に置いています。

私たち「住まいのかたちを考える」プロジェクトチームでは、2008年9月より、お客さまの家を訪問して住まいの観察を続けています。洗面脱衣室の一角に洗濯パンがあり、そこに洗濯機を置いている方が大多数です。
また、この空間をきれいに保つのはかなり難しそうです。洗濯機まわりは収納が足りず、洗剤や洗い物を入れる洗濯かごなどを置く場所の確保にも苦労している様子です。また最近では乾燥機一体型の洗濯機がどんどん大きくなって、建築時に想定していたスペースに収まりきれなくなったり、また風呂の残り湯を使うためのホースの格納場所などにも困っていたり、整理整頓がうまくいかないことがわかってきました。

昭和30年代、家庭における三種の神器
こうした洗濯機ですが、昭和30年代には家庭生活の三種の神器として冷蔵庫、テレビとともに普及していきました。多くの場合、風呂場か物干しの近くの屋外に置かれていました。排水にも便利でしたし、そもそも、それまでの「たらい」にとって代わったのが洗濯機だったので、「たらい」が置かれていた場所に洗濯機も置かれたのです。もちろん一般の庶民の家では、面積にも余裕がなかったようです。その後、電化製品は濡れた場所での設置を嫌うので、洗濯機は風呂場の前室である洗面脱衣室へと移動していきました。

一方、この当時でも建築家の設計する家屋や床面積に余裕のある家では、洗濯機の置き場所はキッチンの近くや、専用の部屋が設けられている場合もありました。この部屋が実は「家事室」の始まりです。戦前は中流家庭でも多くいた女中ですが、便利な家電製品の出現により家事労働が軽減され、女中は必要なくなったのです。そして女中部屋にかわって、家事を自分で行うための専用の部屋=家事室が生まれ始めたといえます。

昼のゾーンと夜のゾーン
家の中を昼のゾーンと夜のゾーンに分けて考えると、風呂は夜のゾーン、洗濯は昼のゾーンと考える方が自然で、昼であればキッチンに近い方が、自然な家事動線計画になります。

家事室とは洗濯を行う部屋といいましたが、洗濯だけではありません。乾燥機で乾燥したり、アイロンをかけたり、たたんだり、また家族全員で使うリネンやタオルなどはこの家事室に置かれるとますます機能的です。
決して大きくない住宅では、この家事を行う専用の部屋を取ることが、面積的になかなかできないのですが、家事動線を家の生活空間にはみ出さないようにすることが、快適に暮らす大切な知恵ではないかと考えています。

11月より新たにアンケートを実施する予定ですが、そのアンケートでは家事について一緒に考えていきたいと思います。昭和30年代、世の中の大きなテーマは家事労働の軽減でした。かつてはこれをテーマにいくつかの建築コンペが行われました。今再び、この問題に着目して、家事動線と、家事室の必要性を考えてみてはどうかと考えています。

家事室の一例をご紹介します。
なかなか、こんなに面積は取りにくいですが、あると便利だと思いませんか。

1 収納棚
家族で使うリネン類を収納します。その他、アイロン、ミシンなども収めておきます。

2 デスク
家計簿をつけたり、裁縫をしたりします。レシピ本などを置いたり、パソコンをつかったりもします。

3 収納
アイロン台や掃除用品などを収納します。上部の棚には洗濯ハンガーなどを収納しておきます。

4 一時物干しスペース
洗濯した衣服を一時的に干します。セッティングが終われば、まとめて物干し場へ持っていきます。

5 洗濯かご置き場
はじめから洗濯かごの置き場所を考えておくことが大切です。

6 シンク
モップやぞうきんなど、汚れのひどい物を洗います。汚物の処理にも便利です。

7 食器棚
食器以外にも、電化製品(電子レンジ、炊飯器、ポット、コーヒーメーカー)などを収納します。

2008年10月14日配信 無印良品の家メールニュース Vol.106より