HOUSE VISION「家具の家」

コラム | 2013.3.5

今回は、HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITIONにて無印良品が出店している「家具の家」の設計者、坂茂氏についてお話します。

坂氏は建築をつくるとき、「つくる事以上に、解体する時点をゴールにおく」といいます。
「紙の建築」でも知られる坂氏、特に2000年にドイツで開催されたハノーバー万博の日本館パビリオンでは紙と布を使った建築をつくります。どこにでもある紙という素材、リサイクル可能なもの、そうした素材へのあくなき探求が建築に表現されています。

今回の「家具の家」、実はオリジナルは1995年に山梨県で建設されています。家具を構造体として組み立てることで家になるという考えです。
床を張る→家具を組み立てる→屋根を張る→建具を入れる→外壁を仕上げる
極めて簡潔で合理的なこの家をつくったとき、これはとても無印良品的だと思ったそうです。それから8年、今回のコラボレーションが実って本当に良かったと思った、といいます。こうした家のつくり方が普及して多くの家が実現できればと坂氏は期待しています。

無印良品の家具や生活雑貨は、すべてモジュールが統一されています。柱の間のサイズを基準に、その半分、4分の1といった具合です。収納用品やファイルボックスなど、すべてのものがこのモジュールにぴったりと合っているのです。今回の「家具の家」は、スプーンやペン、筆箱から鍋や器など、そうしたモジュールにのっとったもので家が構成されているのです。

「スプーンから家まで」、これが、今回の「家具の家」のコンセプトです。
家の壁が棚になり、すべてのものがそのモジュールに合っているのは気持ちのいいものです。無印良品のモジュールは、実は無印良品の物ものだけでなく、日本に流通している部材との互換性があるのも特徴です。それは日本の家が1間(1820mm)という寸法体系が基準に作られていることと関係しています。

こうしてできた「家具の家」はすべてのものがきれいに収まります。建築を構成する構造体とそれ以外のもの(建具やガラス)が明解に切り離されています。庭に面したリビングのガラスの建具は全面が引き込まれるようになって、内部からは建具が一切見えません。まるで外にいるかのようなリビング空間です。外と内が一体になる家、これも今回の大きな考え方の1つです。

構造体が家具になるということ、すべてのモジュールが合っているということ、そして外と内が一体になるということ。「家具の家」は明解で合理的、そして簡潔な家なのです。
この家が眺めのいい森や湖畔、海の近くなどにあったらどんなに気持ちがいいだろうと夢が広がるようです。そしてもし家を解体するようなときがきたら屋根を外し、ひとつひとつをもとの家具に戻し、そのまま引っ越しをするというのはどうでしょうか。始めに話したように、家をつくることでなく解体をゴールとして考えるという坂茂氏のコンセプト、ここでも貫かれています。

無印良品 × 坂 茂
「家具の家」

「新しい常識で家をつくろう」。
今回の「家具の家」の設定は、少し年齢を重ねた夫婦2人の暮らしです。成熟した日本の社会にあって、豊かに歳をとっていくこと、大人の暮らしを考えてみました。
「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」展覧会は3月24日(日)まで開催。会場には他にも企業と建築家による展示ハウスが合計で7つあります。こんな暮らしがしたいと、きっと思ってもらえるかと思います。ぜひ「家具の家」を見に来てください。

>「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」に向けての坂氏のコメントを、こちらの動画からみることができます
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