部分リフォームか全面リノベーションか、どのように選ぶべきでしょうか?

リノベーションなんでも相談室 | 2026.2.3

ご質問

築20年を過ぎたマンションで暮らしており、水回りの劣化や使い勝手の悪い間取りなどが気になっています。一部のリフォームか、いっそ全面的にリノベーションを行うか、どのように判断すればよいのでしょうか

設備機器の劣化や故障をきっかけに、リフォームの検討を迫られるというケースも珍しくありません。最初は最低限の機器交換をするつもりが、よく考えるとあれこれやりたいことが浮かんできて「いっそのことスケルトンからリノベーションしようか」という方向に舵を切ることもあるでしょう。一方で、大規模な工事になれば、必要な時間もお金も増えていくため、なかなか結論を出せないという声もよく耳にします。一部のリフォームにとどめるか、全面的なリノベーションを行うか、どのように選べばよいのでしょうか。

今回は、自身も3度のフルスケルトンからのリノベーション経験を持つ、ファイナンシャルプランナーでマンション管理士の”こっしー”が、部分リフォーム・全面リノベーションの選び方について解説してまいります。

リフォームとリノベーションは違うもの?

部分リフォームと全面リノベーションの比較をするにあたり、まずはそれぞれの定義や特長を整理するところからはじめましょう。一般的にリフォームは、古くなった設備や内装を新しくし、住まいを「元の状態に近づける」工事を指します。キッチンや浴室の交換、壁紙や床の張り替えなどが代表的です。一方、リノベーションは、自身の暮らしに合わせて住まいを「つくり直す」という発想に近いものです。間取りの大幅な変更や収納計画の見直しに加えて、暑さ・寒さ対策といった性能面の改善まで含まれることもあります。

明確に区別されているわけではないのですが、設備交換のような軽微な内容に加え、和室を洋室に変更する、LDKまわりだけをおしゃれに改修するという内容も部分的なリフォームの一種といって差支えないでしょう。リノベーションにもグラデーションがありますが、今回のお話のなかでは、既存の床・壁・天井・設備類をすべて解体する、フルスケルトン(図1)からのリノベーションを念頭にお話を進めてまいりましょう。

図1. フルスケルトンの様子

「困りごと」と「時間」、2つの判断軸

今回は、一部のリフォームと全面リノベーションのどちらを選ぶべきかというご質問になりますが、結論としては、時と場合による、という回答となります。リフォーム・リノベーションに求めること、解決したい課題は人それぞれですから、一概にどちらがよいというものではありません。とはいえ、部分リフォームと全面リノベーションのどちらを選ぶべきか、ということを考えるためのフレームワークは存在しますから、ご紹介させていただきますね。ポイントとしては、「困りごと」と「時間」の2つの軸に沿って考えるということです。

まずは「困りごと」です。リフォーム・リノベーションを行いたい理由ということになりますので、次のように4つに分類してみます。

<困りごと軸>
①部分的な不具合(設備機器の不具合・故障や不要になった和室など)
②間取り・収納の不満(動線の悪さ、収納の不足など)
③デザイン面の不満(元の住まいの見た目が気に入らないなど)
④性能・快適性の不足(暑い寒い、結露、騒音など)

つぎに「時間」です。これは、どれくらいの時間軸で住まいを考えるか、という判断軸です。たとえば、リフォーム・リノベーション後すぐに売却することを考えるのであれば、時間軸は短期ということになります。一方で、終の棲家として長く暮らしたい、最終的に子供に資産を残したい、というように長い時間軸で考えるのであれば長期ということになります。区切り方としては、中期を加えた以下の3つ程度にまとめてみます。

<時間軸>
①短期(5年以内程度。具体的に住み替えの構想がある場合など)
②中期(5年から15年以内程度。手放す可能性がゼロではないというケースなど)
③長期(15年以上程度。終の棲家として長く住みたいという場合など)

これらの「困りごと」と「時間」を掛け合わせて、自分はどこの領域に近いのかを見てみると、リフォームとリノベーション、自分にとってはどちらがより向いているか、ということが見えてくるでしょう(図2)。私の主観によるところもありますが、部分リフォーム向き・部分リフォーム寄り・全面リノベ寄り・全面リノベ向きの4つで分類しておりますから、参考にしてみてください。

図2. リフォーム・リノベ判断のマトリクス

なお、特に「困りごと」についてはひとつに決まるというものでもありませんから、あてはまる領域が複数になることもあるかと思います。その場合でも、よりどの領域に近いか、というところまで検討してみてください。

永く快適に暮らせる住まいづくりを考える

検討した結果「自分は全面的なリノベーションが向いていそうだ」と感じた方は、ぜひ「永く快適に暮らせる住まいづくり」を目指してみてください。住まいの本質は、住む人が健康・快適で幸せな生活を送るベースを提供することですから、ただおしゃれな空間をつくるのではなく、快適性や資産性にもこだわってあげると、長い目で見た時の満足度が格段に上がるはずです。

性能向上や間取りの工夫によって、冬でも暖かく、室内の温度差が小さい住まいをつくれば体への負担を減らすことができますし、住まいの傷みを抑えることにもつながります。また、以前のコラム「2026年は、中古マンションを選ぶ人がますます増えるのでしょうか?」でも触れたように、いよいよ新築から中古へのシフトがはじまり、国としても特に断熱・省エネ性能も伴った中古住宅の流通を加速させようという意思を見せるようになりました。エビデンスに基づいた性能向上を行えば、資産価値も高まる時代になりましたから、リノベーションをする際にはきちんと投資をする、という意識を持つのもよさそうです。

今回は、部分リフォームと全面リノベーションの選び方について解説しました。住まいに求めるものは人それぞれですから、どちらが良い悪いというものではありません。ただし、全面的なリノベーションを行うからこそ叶えられることもありますから、「そこまでは考えていなかった」という方におかれましても、改めて住まいについての「困りごと」など整理してみてください。

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、安全性や快適性も大切にした、永くつかえるリノベーションを展開しております。設計・施工、アフターサポートまで一気通貫でサービスを提供しておりますから、ご興味をお持ちの方は、リノベーションセミナーや相談会、見学会にぜひお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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