
物件が決まってからリノベ会社を選んでも良いですか?
リノベーションなんでも相談室 | 2025.2.18
中古マンション購入してリノベーションするときには、物件とリノベーション会社を選ぶ必要があると思います。良い物件が見つかるとも限らないので、物件が見つかってからリノベーション会社を選んでも良いでしょうか
人気の高まる中古マンション×リノベーションという住まいの持ち方ですが、いざ進めようと思うとマンション選びやリノベーション会社選びなど、考えなければならないことが山ほどあります。気になる物件を見つけたとしても、あれこれ検討を重ねているうちに売れてしまうということも珍しくはありません。スムーズな家づくりのためには、マンションとリノベーション会社のどちらを先に決めるべきなのでしょうか。
今回は、自身も3件の中古マンションを購入し、3度のフルリノベーションを経験した、マンション管理士で宅地建物取引士の”こっしー”が、マンション購入とリノベーションの順序について解説してまいります。
マンション購入×リノベーションの手順
まずは、マンションを購入してリノベーションを行う際の、全体的な流れを見てみましょう。図1のように、資金計画等の準備を行い、マンションを内覧し、気に入ったものがあれば購入申し込みを提出し、無事に話がまとまれば売買契約を迎えることとなります。その後、住宅ローンの本審査を実施したり、並行してリノベーションの打ち合わせをしたりしながら、物件の引渡しを待ちます。物件の引渡しが完了して所有権が自分に移れば、工事申請の後にリノベーション工事を始めることができるのです。
マンション購入とリノベーションの流れを簡単にまとめてみましたが、それほど複雑には感じないかもしれません。しかし、もう少し細かく物件購入のプロセスを検討してみると、マンションの売買契約までにいろいろとやるべきことがあることが見えてきます(図2)。物件を内覧したら、リノベーションで希望の間取がつくれるのか・どれくらいの費用がかかるのか、といった検討をする必要もありますし、売買契約を迎える前には、「たしかにお金を借りられるのだ」というエビデンスを示すために住宅ローンの事前審査に通過しなくてはなりません。リノベーション費用もあわせて住宅ローンを組む場合には、工事請負契約書の提出を早々に求められることもあります。
やるべきことが多いだけではなく、それらをスピーディに進めていかなければならないというのも住宅購入時の苦労するところになります。「この物件を買うぞ」と購入の申し込みをすると、通常1週間後には売買契約を迎えることとなります。もたもたしていると他の人に取られてしまいますから、この1週間のうちにリノベーションでできることや費用感の検討、住宅ローンの事前審査まで行わなければなりません。住宅ローンの本審査を行う際には、依頼するリノベーション会社が決まっている必要がありますから、購入の申し込みをしてから1か月程度以内にはリノベ会社の検討を終える必要があるのです。
先にリノベ会社を決めるとスムーズです
今回のご質問にお答えすると、物件よりもリノベーション会社を先に決めておく方がよいだろうと考えています。物件購入時の非常にタイトなスケジュールを考慮すると、あらかじめ行える準備・検討については早めに取り組んでおいた方が、いざ欲しい物件が出てきたときに迷いなくスピーディに動くことができるからです。
それでは、リノベーション会社を決める際には、どのような手順で検討を進めればよいのでしょうか。以前のコラム「リノベ会社の選び方を教えてください」でも解説したように、まずは自分自身が住まいに何を求めるのかという根本的なところから考えてみましょう。デザイン性・安全性・快適性・自由度・資産価値・コストなど、人によって重きを置きたい項目が異なるでしょうから、自分にとっての優先順位を整理してみるとよいでしょう(図3)。
リノベーション会社の特徴を知るためには、SNSやWEBサイトでの情報収集に加えて、手軽に参加できるオンラインでのセミナーなどに申し込んでみるのもおすすめです。各社のこだわりや特徴をより細かく知りたい場合は、個別の相談会などに参加して根掘り葉掘り質問をしてみるのもよいのではないでしょうか。また、「実際よりも安い金額を伝える」「耐震性や省エネ性に無頓着」「未公開物件を売りにする」など、プロから見ると「おや?」と思うような提案をする会社も少なくありませんからお気を付けください。
差別化が難しいリノベーションの業界では、顧客を囲い込む目的で、物件探しをはじめる時点などの早い段階から前金のようなものを求める会社もいくつか存在します。のちのちトラブルになることもありますから、仕様・性能・金額・品質などにしっかりと納得したうえで依頼をするようにしましょう。
とはいえ、気になる物件が急に出てきた際は。
リノベーション会社を選んでから物件を選んで、と順を追って進めたいものの、現実的には気になる物件を見かけたことがきっかけとなり、急ピッチで検討を進める方もたくさんいらっしゃいます。検討の時間が十分に取れない場合は、要点をおさえて下記のように効率的に比較検討を行いましょう。
短期検討の手順(1)気になる会社をピックアップする
じっくり比較検討をする時間が無いという前提ですから、まずはあまり深く考えずに、SNSやWEBサイト等で見かけたリノベーション会社を箇条書きにしてみましょう。この時点では各社について細かく知る必要はありませんから、少し気になるという程度の会社を羅列してみましょう。
短期検討の手順(2)リノベ会社を特徴で分類する
いくつか候補の会社がピックアップされたら、次はそれらをざっくりグループ分けしていきます。分類の仕方は主観的なもので構いませんが、あまり細かく分けると精査に時間がかかってしまうので、「見た目が好み」「安さが魅力」や「デザイン重視」「性能重視」「コスト重視」、あるいは「大手」「中小」「個人事務所」といったように、せいぜい2~3グループに絞るとよいでしょう。
短期検討の手順(3)各グループから1社を選び相談する
ざっくり分類ができたら、それぞれのグループのなかならどこが一番よさそうか、ということを検討します。本来はすべての会社に話を聞いて検討したいところではありますが、時間が無い場合は仕方ありません。「A社もB社もおしゃれだけど、A社の方がしっくりくる」などの直感も頼りにして2~3社に絞り込み、すぐに各社の個別相談や説明会に申し込みましょう。
短期検討の手順(4)スピード感・納得感・施工の質で最終判断をする
具体的に検討している物件がある場合には、いかにスピード感をもって動けるかということが重要になります。相談した結果、間取や金額の提案に2~3週間を要する会社があれば、その間に物件が売れてしまいますから、急ぎの場合には候補から外れることとなります。もちろん、ただ早ければよいというものではなく、各社の住まいづくりへのこだわり、設備仕様や最終的に必要となる金額の見込みに対して納得感を持てるかという点も大事にして検討を行いましょう。つい見落としがちな工事の品質についても、施工体制が工務店に丸投げになっていないか、アフターフォローはどうなっているか、などの視点で確認したうえで、最終判断をくだすとよいでしょう(図4)。
今回は、マンション購入とリノベーションの手順について解説しました。余裕を持った住まいづくりのためには、じっくりとリノベーション会社選びをしたうえで、物件探しも伴走してもらうことがおすすめです。物件が先に見つかった場合には、少々慌ただしくなりますが、ご紹介した手順を参考に短期集中で検討を進めてみてください。とにかくタイトなスケジュールになりますので、気になる物件を見かけた際には最速で比較検討を進め、具体的な相談を行うとよいでしょう。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、物件探しからリノベーションの設計・施工・アフターフォローまで、ワンストップでサービスを提供しています。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。