室内干しの工夫はできますか?
リノベーションなんでも相談室 | 2023.3.14
毎年、春になると花粉症に悩まされます。リノベーションをする際には、洗濯物は一年中室内に干す前提で間取りをつくりたいのですが、ランドリールームをつくるなどの工夫はできるのでしょうか
2023年は関東地方では花粉の飛散量が多くなるという予測が立てられており、私も含めて花粉症に悩む方にはつらい日々が続きそうです。花粉症対策として、洗濯物を室内で干すことは有効といわれていますが、生乾きのにおいや室内の美観など気になることもあります。リノベーションをする際にはどの様な工夫が考えられるのでしょうか。
今回は、一年中室内干しをする前提で自宅をリノベーションした、宅地建物取引士の”こっしー”が、リノベーションで叶えられる室内干しの工夫について解説してまいります。
室内干しのメリット
いきなり個人的なお話で恐縮ですが、私自身、これまでいくつかのマンションで暮らしてきましたが、基本的にはバルコニーで洗濯物を干していました。ところが、現在暮らしているマンションは、バルコニーでの洗濯物干しが禁止されており、否が応でも洗濯物の干し方を変えることになったのです。洗濯乾燥機も使い、洗濯物は完全に室内で乾かすという生活をはじめてみると、想像以上に快適で、なんでもっと早くこの生活スタイルにしなかったのかと悔やむほどでした。実際に室内干しに移行してわかったメリットをご紹介します。
メリット(1)時短になる
外に洗濯物を干す場合、基本的には朝干して、夕方または夜に取り込みます。ただでさえ慌ただしい朝の時間帯に、洗濯をして、バルコニーに運んで、干して、という一連の作業が必要となりますから負担は小さくありません。室内干しの場合、わざわざ濡れた状態の洗濯物を外へ運ぶ、という過程が不要になりますし、乾いたものはすぐに畳んで仕舞うことができます。さらに洗濯乾燥機も併用すれば、吊るして干す物も少なくなりますから、さらなる時短につながります。
メリット(2)季節を問わず同じ暮らしができる
春は花粉が飛ぶから外に干したくない、梅雨時期は乾かないから外に干したくない、冬は寒いから外に干したくない、といったように日本の気候はそもそも屋外での洗濯物干しに向いていないのかもしれません。一年中室内干しをする生活スタイルであれば、花粉や寒さを気にせずに、いつでも同じように洗濯に取り組むことができます。
メリット(3)洗濯物の状態がよい
外の直射日光で洗濯物を乾かすとなると、どうしても衣類の傷みが発生してしまいます。紫外線を浴びることで繊維製品は色落ちが起こりますから、お気に入りの衣類の状態を維持するためにも室内干しを行うのは有効な対策だといえます。
室内干しの3つのパターン
今回のご質問は「リノベーションで実現できる室内干しの工夫」がテーマとなりますが、室内干しのやり方として主に3つのパターンがあります。簡単にできるものから、大掛かりな間取りの変更が必要なものまでさまざまですので、ひとつひとつ見ていきましょう。
パターン(1)浴室で干す
こちらは、一番簡単なパターンですね。洗濯機は脱衣所に設置されることが多い、入浴と洗濯の時間は重ならないことが多い、浴室は湿気に強い、などの好条件が揃っていますから、浴室と洗濯物干しは相性がよいことがわかります。浴室の換気扇を乾燥機能付きの物に変えるだけで実現ができますが、広さに限りがあるため、たくさんの物を干したいという場合は不向きかもしれません。
パターン(2)着脱式の物干しを利用する
こちらも、よく利用されるパターンになります。着脱式あるいは置き型の洗濯物干しを使い、リビングや寝室の一部で一時的に洗濯物を干す方法です。基本的には外で干すという方でも、花粉が気になる時期や雨の日にはこれらを利用するという方も多いのではないでしょうか。例えば、図1の事例では、窓に近いところに着脱式の室内物干しを取り付けてあります。
パターン(3)室内干し用のスペースをつくる
こちらが、最もリノベーションらしい方法といえそうですね。室内で洗濯物を干す前提で間取りをつくるということですから、洗濯する→乾かす→仕舞うという一連の動線を考えたプランニングを行うことができます。衣類収納を一か所にまとめたいか/分けたいか、洗濯乾燥機を使うか/使わないか、などそれぞれの暮らしに合わせたスペースのつくり方があります。
例えば、図2のお宅では、洗面脱衣室に物干し用のスペースを設けています。そこからひと続きで家事用のカウンター、ウォークインクローゼットが配置されており、生活動線が考え抜かれていることがわかります。リノベーションならではの、普通のマンションでは見られないレイアウトです。
他にも、図3のお宅のように、ウォークインクローゼットの中に洗濯物を干せるようにするという発想もあります。乾いたら、すぐに仕舞うだけですから、このレイアウトも実に合理的だといえます。閉じられた場所に干せると、室内の美観を損ねずに済みますし、この空間で除湿器を回せば思いのほか早く乾きそうです。
まだまだ、あります。図4のお宅では、タイル貼りのインナーバルコニーを設け、そこで洗濯物を干せるようにしています。インナーバルコニーは屋外と屋内とを緩くつなぐ緩衝空間として機能しますが、そのような空間だからこそ、リビングから見える位置に洗濯物が掛けられていても違和感は無さそうですね。
より快適に、室内干しをするために。
室内干しの場合に心配になるのは、なんといっても生乾きの問題です。それを防ぐために、最も簡単にできる対策としては、サーキュレーターや除湿機の利用です。洗濯物の乾燥を促進することで嫌なにおいが発生しにくくなります。もうひとつ大切なのが、家の中の温湿度を適正に保つことになります。室温が高い夏場でも湿度が高いと乾きにくくなりますし、湿度が低く乾燥には有利な冬場でも室温が低いと思うように乾きません。夏場はエアコンの連続運転、冬場は日射や暖房で暖めた室内の熱を逃がさない様な工夫が必要だといえます。リノベーションを行う際には、そのようなメカニズムも理解した上で、断熱性能の向上や室内の温湿度ムラの少ない間取りづくりを行ってみてください。
今回は、花粉症の季節に気になる、室内干しについて解説しました。ランドリールームというほど大げさなものをつくらなくても、少しの工夫で使い勝手のよい空間づくりができそうです。ちなみに、我が家では、寝室の梁に目立たないように長押(なげし)を設置するというちょっとした造作を行っており、これもまたおすすめですよ。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。