2022年のマンション市場はどうでしたか?
リノベーションなんでも相談室 | 2023.2.14
新型コロナウイルスの問題も落ち着きを見せはじめた2022年でしたが、マンション市場はどのような状況だったのでしょうか
未知のウイルスへの不安に包まれながらもマンション価格は下がらなかった2020年、前年の反動もあり活況を呈した2021年、それに続いた2022年。社会全体が少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるなかで、マンション市場はどのような変化を見せたのでしょうか。
今回は、首都圏の中古マンションを日々ウォッチし続けている、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が、2022年の首都圏マンション市場について解説してまいります。
好立地が選びにくくなった新築マンション
はじめに、新築マンションについてのデータを見ていきましょう。(株)不動産経済研究所が2023年1月の公開した「首都圏新築分譲マンション市場動向」によれば、発売戸数は2万9,569戸で2年ぶりの3万戸割れとなりました。平均価格は、過去最高値だった昨年を超え、2年連続の最高値更新となる6,288万円をつけました(図1)。低金利状態が続いているとはいえ、首都圏の新築マンションは買いたくても買えないという方も増えてきているかもしれません。
また、新築マンションが供給された地域についても面白い傾向が見て取れます。表1の通り、2018年時点では新築分譲戸数に占める東京都(区部・都下の合計)の割合が半数以上でしたが、2022年においては、東京都の構成比が8%減の45%まで低下しています。新築マンションの価格は上がっている一方で、立地はより都心部から離れているという傾向があることがわかります。
表1. 新築マンションの地域別構成比の推移
引き続き堅調な中古マンション
供給戸数が減り、価格が上がっているというトレンドは、中古マンションについても確認できます。(公財)東日本不動産流通機構が2023年1月に発表した「首都圏不動産流通市場の動向」を見ると、中古マンションの成約数は前年比11.0%減の35,429件、成約価格は同10.5%増の4,276万円となっています。価格が上昇しているとはいえ、新築マンションと比較すると7割弱の価格で取引がなされているということもわかります(表2)。首都圏のマンション市場においては、2016年以降7年連続で中古マンションの成約戸数が新築マンションの販売戸数を上まわる状況が続いており、首都圏のマンション市場の主戦場は中古に移っているようです。
表2. 新築・中古マンションの比較
立地の郊外化が進む新築マンションに対して、中古マンションはより都心が選ばれる傾向があることがデータから見て取れます。同じく「首都圏不動産流通市場の動向」で示されている地域別の成約数(表3)を見ると、中古マンション市場全体として前年比の成約数が減っている(前年比-11.0%)なかで、東京都区部においては、他の地域と比較して減少幅が小さくなっています(同-6.0%)。新築の郊外化と合わせて考察すると、都心部に住みたいが新築は手が届かないという層が中古に注目するようになっているという行動パターンの存在が見えてきます。
表3. 中古マンション成約状況の地域別比較
コロナ禍で減少していた流通物件の在庫数も、2022年12月時点では前年同月比+16.6%の41,665件となり、回復の兆しを見せています。ただし、同機構が月次で発表している「レインズシステム利用実績報告」によれば、不動産業者が売主となっている物件、つまりリフォーム済みで売り出されているものが積みあがっていることがわかります(図2)。リフォーム前の物件を購入して、自分の好きなようにリノベーションしたいという方にとっては、依然厳しい市場環境が続いています。
これからのマンション選びのコツ
ここまでの話をまとめると、新築マンションでは価格高騰と郊外化が進んでおり、新築であることにこだわらず、よりよい条件を求める方は中古マンションにシフトしているようです。一方で、中古マンション価格の高騰も続き、前年から1割以上の価格上昇を見せています。東京都区部では平均平米単価が100万円を超え、70m²で約7,000万円が必要となりますから、リーズナブルという印象は受けないかもしれません。最後に、このような状況下でのマンション選びのコツをいくつかご紹介します。
マンション選びのコツ(1)コンパクトな物件を選ぶ
専有面積が小さくなれば物件の価格を抑えることができますから、とくに立地を重視する方においてはコンパクトな物件を選ぶという選択は合理的だといえます。リノベーションでゼロから間取りをつくるのであれば、コンパクトでも十分な空間づくりができるので、自分の暮らしに本当に必要な広さについて、プロに相談してみてください。たとえば、52m²で家族4人が暮らす家も、リノベーションであれば叶えられるかもしれません(図3)。
マンション選びのコツ(2)立地を見直す
不動産の価格を決定づける最大の要素が立地です。人気のある駅の駅近物件となれば、当然ながら価格は高くなります。学区などによる立地の制限がなければ、ある程度幅を持って立地を検討するとよいでしょう。よほど散策好きな方でない限り、降り立ったことがない駅が大半だと思います。思いもよらない駅や街が自分の暮らしにフィットする可能性もありますので、条件を絞りすぎずに探してみてください。
マンション選びのコツ(3)古くてもよいものを選ぶ
これからのマンション購入では、築年数が経ったものを当たり前に選ぶことになります。新築の供給減少と中古流通の加速が進めば、成約物件の平均築年数は徐々に古くなることが想定されます。古くても適切な管理が施され、財政的にも余裕があるマンションであれば安心して暮らすことができますから、物件の見極めがより重要となります。2022年からスタートした管理計画認定制度も、マンション管理の質の向上を後押しすることになるでしょう。
今回は、2022年のマンション市場について解説しました。新築・中古ともに流通戸数は前年割れしたものの、価格については続伸という結果でした。短期金利が低水準で維持され、燃料などのコスト増が続いた場合、価格についてはさらに高騰する可能性もありますが、さて、2023年はどうなるでしょうか。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。