自主管理のマンションとは、何ですか?
リノベーションなんでも相談室 | 2021.1.19
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。
今回お答えするご質問は、こちら。
「マンションを探すなかで、自主管理という管理形態があることを知りました。自主管理のマンションというのは、どういうものなのでしょうか」。
マンションを探してポータルサイトを見ていると、「管理形態:自主管理」という表記を目にすることがあるかもしれません。前回のコラムでは、マンションの管理会社について解説しましたが、自主管理というのは、管理会社が入らない管理形態になります。今回は、自主管理のマンションとはどのようなもので、選ぶ際にはどこに目を向ければよいのか、解説してまいります。
そもそも、自主管理とは
マンションの管理形態には、「全部委託方式」「一部委託方式」「自主管理方式」の大きく分けて3つの種類が存在します。前回のコラムでは、マンション管理会社の業務として、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の4つを紹介しましたが、これらすべてを管理会社に委託するのが全部委託方式、一部は自分たちで担い、一部は管理会社に委託するのが一部委託方式、管理会社には一切委託しないのが自主管理方式です。それぞれの特長については、表1をご覧ください。
表1. 管理方式の分類
全部委託 | 一部委託 | 自主管理 | |
---|---|---|---|
特徴 | 管理業務を全て管理会社に委託する | 管理業務の一部を管理会社に委託し、残りは管理組合が担う | 管理会社に委託せず、管理組合が管理業務を担う |
メリット | ・手間がかからない ・管理会社のノウハウがある |
・管理組合の状況に応じた委託が可能 | ・管理費が安くなる ・主体的な管理が行える |
デメリット | ・管理費が高くなる | ・手間がかかる | ・手間がかかる ・管理組合の質に依存する |
それでは、自主管理のマンションは清掃から建物のメンテナンスまで、すべて自分たちだけで行っているかというと、そういうわけではありません。自主管理とは、あくまで管理会社に委託をしないという方式ですので、きちんとした自主管理のマンションであれば、管理人や清掃員を管理組合が直接雇い、修繕の計画や建物のメンテナンスについては設計事務所等と直接取引きを行うという方法を取ります。マンション運営のコンサルタントとして、マンション管理士を雇うこともありますね。多くの手間がかかる分、管理組合(主に理事会メンバーや理事長)の質によって、管理の質のバラツキが大きくなるというのが最も特長的なところでしょうか。
自主管理のマンションを見極める
バラツキの大きな自主管理のマンションだからこそ、購入を検討する際には、その見極めが重要といえます。ポータルサイトに掲載されている物件情報で簡単に確認できる内容もあれば、各マンションの管理についての資料を詳細に確認しないとわからないこともあります。ここでは、見極めポイントを3つに絞ってご紹介します。
(1)マンションの規模
まずは、ポータルサイトなどで簡単に確認ができる項目です。自主管理のマンションの多くは、団地のような大規模なものか、数戸程度の小規模なものにわかれます。体感としては、巨大なコミュニティをまとめている前者では、長期間に渡りしっかりとした維持管理がなされていることが多いように思います。後者については、管理組合によほどの力量があればよいのですが、多くの小規模マンションでは維持管理をするための費用不足などの問題を抱えている傾向にあります。一概にはいえませんが、小規模な自主管理のマンションについては、以降でご紹介する項目をとくに注意深く確認したいものです。
(2)管理規約や細則
管理会社が入っている場合と比べて、ひとつの自治体としての色が濃くなるのが自主管理のマンションの特長です。長く自主管理が続くマンションについては、独自の規約や、規約にすら載らないルールが存在する場合もあるようです。例えば、水まわりのリフォーム工事を行う際の工法や使用する部材の指定などがある場合もありますし、理事会の面談をクリアしないと入居できないというようなマンションも存在します。特殊な決まりが定められていないか、事前に確認することをおすすめします。
(3)修繕履歴と修繕計画
これまでの建物の維持管理や、これからの修繕計画作成が適切になされているか否かは中古マンションを選ぶ際の重要ポイントですが、自主管理のマンションの場合にはとくに慎重に確認したいところです。管理会社のアドバイスがない分、「修繕はまだ先でいいか」と消極的になった結果、取り返しがつかない状況に陥る恐れもあります。きちんとしたマンションであれば、自主管理であっても共用部の修繕工事の履歴を残しているので、忘れずに確認しましょう。
また、マンションの健全な維持管理をするためには、長期的な修繕計画を立てることが重要です。プロである管理会社はその重要性を認識していますが、自主管理の場合は管理組合の意識次第ということになります。質の高い自主管理のマンションであれば修繕計画が作成・更新されている一方で、そもそも計画的に修繕を行う意識のないマンションも存在します。長期修繕計画が作成されているのか、計画と照らし合わせて妥当な修繕積立金が蓄えられているのか、確認しましょう。
今回は、自主管理のマンションについて解説しました。これらの内容は自主管理に限らず、マンション選び全般に通じる内容となりますが、管理のプロが入らない自主管理のマンションにおいてはとくに慎重に検討した方がよさそうです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、マンション選びからワンストップで住まいづくりのお手伝いをしております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。