管理会社は重要でしょうか?
リノベーションなんでも相談室 | 2021.1.5
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。
今回お答えするご質問は、こちら。
「ポータルサイトでマンションを探していると、それぞれの物件ページに管理会社名が掲載されています。大手の管理会社が入っていると安心に思えますが、管理会社はどのくらい重要なのでしょうか」。
マンションを健全で清潔な状態に維持するためには、日常的なお手入れや計画的な修繕工事が必要です。ところが、マンションの住人は管理のプロではないですから、一般的にはマンション管理会社に管理業務を委託することになります。今回は、マンション選びにおいて管理会社はどのくらい重要なのか、解説してまいります。
大手が入っているから安心、とは限らない
「マンションは管理を買え」という言葉が、マンション売買の現場ではよく使われています。この言葉の起源は定かではないのですが、ご質問のように「大手の管理会社が入っていれば安心だ」と捉えている方は多いのかもしれません。果たして、そうなのでしょうか。
結論からいってしまうと、マンションの管理会社は重要な存在ではあるけれど、それだけではマンションの良し悪しはまったくわかりません。当然大手の管理会社であれば、受託件数が多くノウハウが豊富であるとか内部統制がしっかりしているなどのメリットはあるのでしょう。それでも、マンションの進むべき道を決める主体者は、マンションの区分所有者からなる管理組合ですから、結局は管理組合(≒住人たち)の意識の高さが重要になるのです。この点は、後ほどお話します。
管理会社は何をするのか
そもそも、マンションの管理会社はどのような仕事をするのでしょうか。参考として、国土交通省が示している「マンション標準管理委託契約書」を見てみましょう。
一 事務管理業務(別表第一に掲げる業務)
二 管理員業務(別表第二に掲げる業務)
三 清掃業務(別表第三に掲げる業務)
四 建物・設備管理業務(別表第四に掲げる業務)
どれも別表を見よ、ということになっておりますので、ざっくりと説明します。
「一 事務管理業務」は、最も大切な業務である、お金の管理が該当します。管理費や修繕積立金の滞納者への督促なども含まれますね。そのほか、マンションの維持・修繕の調整、理事会や総会の支援などもここに含まれます。「二 管理員業務」や「三 清掃業務」はわかりやすいですね、管理人さんのお仕事やマンション敷地内の清掃業務です。「四 建物・設備管理業務」は定期的な目視での点検や、法律で定められた建物や付帯設備などの定期点検が該当します。
ここから見て取れるように、マンションの管理会社の業務は主に後方支援であるという考え方がしっくりくるかもしれません。お金の管理をきっちりと行い、スムーズに理事会や総会が行われるように議案や議事録の作成などを行い、住人が気持ちよく快適に暮らせるように清掃や点検を実施し、今後必要な修繕についての助言などを行ってくれるのです。
あくまで主体は、マンション管理組合
繰り返しになりますが、マンションの進むべき道を決めていくのは、管理組合です。例えば、管理会社の担当者が「このままでは20年後に修繕費が不足します。早いうちから修繕積立金の値上げを検討すべきです」と訴えたとしても、管理組合が「そんな先のことは知らん!」といってしまえば、将来的な修繕費不足という問題が先送りされることになります。あるいは、不要な修繕工事を管理会社から提案されて、管理組合が「とりあえずやっておこう」と判断すれば、修繕積立金の無駄遣いとなってしまうかもしれません。このように、管理組合がどれだけ自分のマンションの維持管理に関心を持つか、ということがマンションの行く末を左右するのです。
中古マンションの場合、これまでのマンションの歩みを知ることができるというのは大きなメリットといえます。新築時から現在までどのような歴史を辿ってきたのか、修繕履歴や過去の総会議事録などの資料を見ることでうかがい知ることができるのです。ですから、中古マンションを選ぶ際には、どこの管理会社が入っているかということだけでなく、どのような管理が行われてきたか、という点に目を向けると良いでしょう。
今回は、マンション選びにおける管理会社の重要性について解説しました。理事会・総会などのマンション管理組合としての意思決定プロセスや、具体的な管理状態の確認方法については割愛しましたが、管理会社だけで選んではダメだということはおわかりいただけたでしょうか。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、マンション選びからワンストップで住まいづくりのお手伝いをしております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。