【団地ちょっとレポート】MUJI×URの設計者と歩く「シャレール東豊中」

MUJI×UR団地レポート | 2025.2.27

第四回ゲスト:森田アルミ工業/取締役 宇野健太郎さん

11月、まもなく新しいMUJI×URの新プランが完成する工事中の住戸から、4回目のお散歩レポートは緩やかにスタートしました。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトに関わって10年余り、全国70団地ほどでリノベーションに関わってきたMUJI HOUSEの松本と、大阪出身で松本と同郷の森田アルミ工業/取締役 宇野健太郎さんと大阪北部に位置する団地のお散歩の様子をレポートします。


写真左から、MUJI HOUSE 松本、右は森田アルミ工業/取締役 宇野健太郎さん。

今回ご紹介する団地情報
シャレール東豊中:大阪府豊中市 昭和35年築だった「東豊中第一団地」が2004年(平成16年)に建て替えられ、現「シャレール東豊中」に。洗練された高層住棟が立ち並ぶ団地に生まれ変わった。

松本
さて、続きまして「シャレール東豊中」に着きました。先ほどの箕面粟生第3団地から車で15分ほど南の位置にあります。電車だと、北大阪急行線「箕面萱野駅」から「桃山台駅」まで一本で来れるので、電車が延伸して本当に便利になりましたね。
今日は車で移動してきたのですが、まず最初にシャレール東豊中の顔である集会所「ぼん・しゃれーる」からスタートしましょうか。

宇野
車から降りてすぐ目の前に集会所があるんですね。

松本
確かに、珍しいですね。今まで見てきた団地では、集会所は敷地の中央部分にあることが多いので、奥まっていて団地の外からは見えないことが多いのですが、これだけ表にあるのはいいですね。団地外からの利用者にとっても便利ですし。

宇野
周辺地域の人にとっても身近な存在になりそうですね。

UR
よかったらぜひ中に入ってみてください。

松本
それではお言葉に甘えて。僕も初めて来たので楽しみです。
ここが「ぼん・しゃれーる」なんですね。

UR
集会所の廊下が本をツールとしたコミュニティスペースになっています。
団地にお住まいの方だけでなく地域のみなさまにも自由にご利用いただけます。会員登録をしていただければ、本の貸し出しにも対応していますよ。本棚だけでなく、学習スペースやキッズスペースも併設しています。

宇野
集会所の中に図書館があるみたいでいいですね。中もきれいです。

松本
大人向けの本棚、子供向けの本棚とちゃんと分けられてますね。このスツールが置いてあるところが、学習スペースですね。

奥の方にあるのは、キッズスペースのようです。床も畳が敷いてあってゴロゴロしながら絵本も読めそうですね。

UR
キッズスペースは壁面がホワイトボードになっているので、お子さま連れでお絵描きに来られる方の姿もよく見られますよ。この本棚を潜り抜けて扉を開けると、集会室があります。

松本
おー広いですね。床には床暖房も!サッシも大きく開けて屋外のデッキスペースとつながって利用できますね。

宇野
正面には小山の緑も見えて手前には広場もあっていいですね。
しかし、だいぶ雨も強くなってきましたね・・・。

松本
壁の中に椅子が隠れていますね、デスクも。これはいいですね。他の団地でもこの椅子とテーブルの収納を確保するのが難しくて、出しっぱなしになっていることも多いのですが、これだけしっかり収納できるスペースがあると、雑然としなくて普段から見栄えもよく保つことができそうです。

UR
しかしながら、雨が強くなってきましたね・・・。少し作戦会議をしましょうか。
今回、住戸の方も見学ができるので、そこまで傘をさしながら歩きましょうか。

松本
そうですね、ぜひ見てみたいですね。行ってみましょう。

宇野
本当に緑がたくさんあって気持ちがいい屋外空間ですね。

松本
このコンクリート平板の道も、緩やかに曲がりながら下る道も、建て替えられた団地とは言え、昔の懐かしさも残している感じがしますね。

UR
さて着きました。こちらの住戸は子育て世代向けに設計されたお部屋になっています。

宇野
確かにこの広い土間とかベビーカーを置くのにちょうどいいですね。天井からも室内干しをするのに便利なパイプもありますし、カーテンレールがあるのでそのままクローゼットとしても使える設計になっていますね。

松本
建材メーカーの宇野さんとしては、やはり気になる部分ですか?

宇野
そうですね。笑。こういうパーツは弊社でも扱っていますが、賃貸だからこそ住み始めから備わっているということが、住む方にとってはうれしいですよね。

松本
賃貸の場合、住んでからDIYで天井から物を下げるのはなかなか難しいですものね・・

松本
この玄関すぐ横のバルコニーへ靴を履いたまま外に出れるのも便利ですね。
MUJI×URでもリノベーションを行った際に、土間を広げて土間収納を作ることはよくあるのですが、バルコニーと繋げることは未だないので笑、いいですね。

UR
最後に、元の集会所まで屋外を回って戻りましょうか。

宇野
住棟の外壁上部に付いている住棟番号に電飾が付いてますね。

松本
おーこれも初めてみました。暗くなると住棟番号が浮き上がる感じなんでしょうね。
この自転車置き場も地味ですが、すごくいいデザインですね。コンクリートブロックと水平屋根に間接照明がついていて素敵です。

松本
こうして歩いてみると一階の作りが住棟ごとに違っていて、飽きさせないように考慮されている感じがしますね。団地の中というより、本当に街の中を歩いているような。

一階部分は専用庭もついているところもありそうですね。この玄関へのアプローチなんかも普通の団地では考えられないですね、笑。普通の戸建て住宅のような作りをしていて、様々な暮らしの変化をもたらそうとしている設計者の意図を感じますね。

住棟自体もあえて同じ形状の住棟が並ばないような工夫がされている感じがしますね。
デザインや色を変えながら変化を作ろうとしている。外観も団地とは思えない洗練されたデザインになってますね。

宇野
確かに、普通に分譲のマンションですよね・・・もはや。

松本
最後に共用廊下に登ってみましたが、ここから眺める住棟も圧巻ですね。
団地の良さもちゃんと残しながら、飽きさせない工夫を随所に散りばめている、そんな空間づくりをされているなと、このお散歩を通じてつくづく感じました。

宇野
本当に住棟といい、屋外の緑豊かな環境といい気持ちがいい空間でした。
これで天気が良ければ最高だったんですけどね。

松本
実は、このお散歩企画で雨が降ったのは今回が初めてだったんですよね。

宇野
そうだったんですか!?実は私、そこそこの雨男でして・・・

松本
えーまさかのそんなオチになるとはですね。笑
でもまた、ぜひお散歩する機会があればお願い致します・・!

 

<ゲスト プロフィール>
宇野 健太郎
森田アルミ工業/取締役
大阪出身。東北芸術工科大学デザイン工学部卒。森田アルミ工業では2023年より建材パーツのセレクトブランド「Noizless」をスタート。全国の書店でも販売を開始している。