「どこでもベンチ」から考える暮らしの知恵
団地から考える暮らしの知恵100 | 2024.5.31
第四十五回
「どこでもベンチ」から考える暮らしの知恵
団地の敷地内をよく観察すると、ちょっと腰をかけるのにちょうどいい高さの擁壁(ようへき)がたくさんあることに気づきます。
特に、団地の敷地にはたくさんの緑豊かな環境が広がっていて、それら植栽と歩行者通路とを隔てる土留め(どどめ)としての役割の擁壁(ようへき)を見かけます。
なので、必然的に歩行者通路に沿って擁壁(ようへき)が並行して続いており、歩いていてちょっと休憩したい時や、電話がかかってきて座りながら話したい時、靴紐を結びたい時、ばったり知人と会ってお話をしたい時など、思わず座ってしまいたくなります。
本城西団地(福岡)の敷地内にある擁壁(ようへき)
植栽と歩行者通路を隔てるため、通路沿いに並行して続いている。
東豊中第二団地(大阪)の敷地内にある擁壁(ようへき)
植栽の法面(のりめん)と歩行者通路を隔てるため、通路沿いに並行して続いている。
四箇田団地(福岡)の敷地内にある擁壁(ようへき)
植栽と歩行者通路を隔てるため、通路沿いに蛇行しながら続いている。
これら擁壁(ようへき)は、場所によって少しごつごつしたコンクリートでできている部分があると座るのにやや抵抗があったり、夏はコンクリートが熱く、冬は冷たいので、積極的に「ベンチ」として使おうという感じにはなりません。きっと、わざわざベンチがある場所まで行って座ることになるでしょう。
しかし、擁壁(ようへき)はあちこちにあるので、逆に考えると団地の敷地内のどこにでもベンチとして座れる可能性があります。そんな「どこでもベンチ」が作れる装置があればどうでしょう。もはや、わざわざベンチを置かなくても、「どこでもベンチ」が作れるのではないでしょうか。
<暮らしの知恵(1) ちょっとした工夫 – 団地の擁壁(ようへき)をベンチにする装置 ->
「どこでもベンチ」の構造はとても単純で、擁壁(ようへき)の厚みにぴったりはまるような木製カバー状の座面があれば、だいたいの場所でベンチにすることができます。
高さも、擁壁(ようへき)によって様々で、座面高さ30cmほどで低い場合は子供が座るのにちょうどよく、座面高さ40cmだと、家のダイニングにように座って過ごすことができ、座面高さ50から70cmほどで高い場合は、ちょっと腰をかけるイメージになります。すでにあるものを生かしてそのまま活用することで、いつもの日常の中に、ちょっとした便利を作ることができるのではないでしょうか。
「こんなところに、ちょうどいい高さのベンチがあったんだ・・・」のような、新しい発見をする楽しみもできるかもしれませんね。
<暮らしの知恵(2) あったらいいな空想レベル – 団地の敷地でコワーキング ->
このように、「どこでもベンチ」によって団地の敷地の好きな場所で過ごすことができるようになったら、次に思う事は「そこで何をして過ごしたいか」ではないでしょうか。
例えば、自分の好きな場所で、
・仕事がしたい
・読書がしたい
・勉強がしたい
・コーヒーを飲みたい
・オンラインゲームがしたい
・動画を見たい
・おやつを食べたい
など、好きな場所で好きに過ごしたいですよね。これらの状況をよく見るのが、最近は、街中のカフェではないでしょうか。もちろんおしゃれなカフェで美味しいコーヒーを飲みながら過ごしたいという目的の人も多いと思いますが、人によっては、美味しいコーヒーを飲むことが目的ではなく、電源やWiFiを使って仕事や勉強がしたいからカフェに行く人も多いのではないでしょうか。
団地の好きな場所で、まるでカフェのように過ごせたらどうでしょう。屋外であってもそこには、電源があり、WiFiがつながり、美味しいコーヒーもデリバリーされる、そんな「どこでもベンチ」の未来の形ができるかもしれません。
それらは、決してフリー(無料)ではなく有料で、電源を使いたい、強力なWiFiを使いたい、という希望が叶う満足度の高い屋外ベンチを目指しても良いかもしれません。決済方法はベンチに記載された二次元コードをスマホ読み込むだけで、希望する時間の間は、電源やWiFiが使えるような運営方法でも良さそうです。
もしくは、二次元コードを読み込んで、一定の時間、スマホで広告を視聴したら数分だけ電源やWiFiが使えるような運用もあるかもしれません。
いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。
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MUJI×URでは、UR都市機構と無印良品が共同で開発したオリジナルパーツを「団地の魅力を引きたてる新しいアイテム」として、リノベーション住戸に使用しています。
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