「団地暮らしの可変性」から考える暮らしの知恵その2

団地から考える暮らしの知恵100 | 2023.2.28

第三十四回
「団地暮らしの可変性」から考える暮らしの知恵その2

前回に引き続き、団地の「可変性」をテーマにアイデアを考えてみたいと思います。

前回、団地の「可変性」に関してご紹介をしたのは、
○間取りを住みながら変化させていくもの・・・「ダンボールふすま
○和室と洋室のどちらにも変化する畳・・・「麻畳

そして新たな提案として、
○照明を変化させる・・・「変化するシェードランプ

をご紹介しました。

さらに今回は、「キッチンの可変性」をご紹介したいと思います。
MUJI×URでリノベーションされた住戸の場合、可変性のあるキッチンとして「組合せキッチン」を使うことで、さまざまなシーンに対応することができます。

組合せキッチンのテーブルを横に繋げたロングカウンターキッチンとなり、正面に置くと対面キッチンに

組合せキッチンのテーブルをT字に繋げたり、並行に置くことで2列型キッチンにもなる

「組合せキッチン」以外にも「持出しキッチン」の場合は、その天板下の広い空間を利用して自由に収納をアレンジすることができ、「組合せキッチン」とはまた違う意味での可変性のあるキッチンといえます。

持出しキッチンには収納がないため、自由に収納をアレンジすることができる

このように可変性は賃貸であっても、住む人が自由に暮らすことができる重要な要素であると考えます。ふすまや畳、キッチンに至るまで、その考え方や使い方を反映することでそれらのパーツがデザインされているのです。

とくに間取りを変化させることができる「ふすま」は、団地暮らしの可変性の代表的なパーツではないでしょうか。今回はその「ふすま」の新しい使い方を考えてみたいと思います。

<暮らしの知恵 可変性のある間取り – 回転式ふすまでワイドオープンに ->

通常4枚引きのふすまは、2本溝の引き違いになっていて、どんなに開いても一間しかオープンにはできません。もしくは、ふすま自体を溝から外さない限り、フルオープンにすることはできません。

回転式ふすまは、ふすまセンターの軸によって回転し、みぞに沿って片側に寄せることができる

一方、回転式のふすまの場合はどうでしょうか。
既存の敷居鴨居の溝を利用して簡単に設置することができ、一見すると4枚のふすまのように見えますが、実際は2枚分の大きなふすまになっていて、ふすまの中央にある軸によってくるくる回ることで、間仕切りでありながら扉の役目を果たします。

さらに、そのまま軸が溝にはまった状態でパタパタと片側に寄せることで、ふすまを外すことなく、フルオープンにすることができます。

忍者屋敷の隠し扉のような「回転式ふすま」ですが、

1.「ふすまを外す」という行為からの解放
2.「ふすまの置き場所」が最初からある

という2つの目的を果たすことで、より積極的に間取りを変化させる「可変性のある暮らし」を実践し、住むことが出来るのではないでしょうか。

いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。