「団地暮らしの可変性」から考える暮らしの知恵

団地から考える暮らしの知恵100 | 2023.1.31

第三十三回
「団地暮らしの可変性」から考える暮らしの知恵

団地の間取りを住みながら変化させていく、代表的なものといえばは「ふすま」です。もともと団地は、和室をベースに設計されているので廊下がなく、和室が隣接してふすまによって間仕切られています。MUJI×URでリノベーションされた住戸の場合、ダンボールふすまによって、間取りを住む人のライフスタイルに合わせ変化させていくことが可能です。

ダンボールふすまを外すと、広い一室空間に。取り付けると、プライベートな寝室をつくることもできる

しかし団地暮らしにおいて、変化をして便利なものは間取りだけでしょうか?
たとえば床材ではどうでしょう。和室の多い団地のお部屋では、洋室に変化させることができれば、より便利ですよね。そこでMUJI×URで開発されたのが「麻畳」です。

麻畳の場合、床座の暮らしはもちろん、ダイニングやベッドルームのような洋室使いでも違和感がない

それでは次に、照明はどうでしょう。暮らしが変化すると、じつはそこに最適な照明も変化していることに気付きます。専門的には、「照度」「色温度」といわれているものですが、身近なたとえでご紹介します。

○照度(明るさ)
仕事や勉強など作業をするためには、ある程度の明るさが必要ですが、リビングや寝室のようにリラックスをしたい場所は、少し明るさを抑えた方が効果的です。

○色温度(照明の色)
キッチンや洗面所では、白色・昼光色といった白い光が作業性もよく、リビングや寝室では、暖かみのある電球色が好まれます。

これまでも、調光器があれば明るさをコントロールすることは比較的簡単でしたが、最近ではLED照明の光源にすることで、色温度も変化させることが可能です。そしてそれらは壁スイッチではなく、リモコンやスマホで操作できることが、当たり前になってきています。

リモコンとLED電球の光源があれば、明るさ色温度の両方を変化させることができる

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シェードランプは、タスク照明としても、アンビエント照明としても、インテリアの重要な要素になっている

光源の明るさや色温度は、LED照明の技術の進歩により一般的になってきましたが、もう一つ「タスク・アンビエント照明」という考え方があります。

参照:日本照明工業会 「LED照明にカエルドキ」

タスクとは、「作業」を意味しており、アンビエントは「周囲」を意味しています。
つまり、必要な部分だけを明るくすることで、省エネでかつ作業形態の多様化に対応するという考えの照明計画になります。

この場合、天井に一つだけ照明器具があるのではなく、デスクの上にはデスクランプがあり、ソファーの横にはフロアランプがあるという配置になります。

LED照明で、明るくしたり色温度を変えたりすることができれば、もはやお部屋に照明は一つで良いのかもしれません…。しかし、照明はお部屋のインテリアやマインドを変化させるにはとても重要な要素の一つであり、自分のお気に入りの照明もあっても良いですよね。シェードランプは、そのかたちや色、透過度によってじつにさまざまですが、気分によってシェードの模様を毎回変えるのは、なかなか難しいことです。

そこで、リモコン一つで模様が入れ替わるシェードがあったらどうでしょうか。その日の気分やお部屋の雰囲気に合わせて変化させられる。そんなことができるシェードがあったら、団地暮らしもより豊かになりそうです。

透過性のあるデジタルスクリーンのシェードを、リモコンを使って模様を変化させることができる
同じシェードを使うことで、作業の多様化に対応しながらも、統一感のあるインテリアを実現する

また同じシェードであっても置く場所によって、下を向けたり、上を向けたり、手もとを照らしたりと、回転させることで光の方向を変化させながら使うこともできるでしょう。

このようなちょっとした知恵で、素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見お待ちしております。