「工場で捨てられていたもの」から考える暮らしの知恵
団地から考える暮らしの知恵100 | 2023.5.30
第三十七回
「工場で捨てられていたもの」から考える暮らしの知恵
「今まで捨てられていたもの」シリーズとして、第一回目は「短いい草の使い方」をテーマにアイデアをご紹介しましたが。第二回目は「工場で捨てられていたもの」をテーマにしたアイデアを考えたいと思います。
その中でも今回は、「フローリング工場で捨てられていたもの」に着目したいと思います。大きなフローリング工場では生産の途中で、長さや幅を揃えるために、木片の端材がどうしても発生してしまいます。
<暮らしの知恵 捨てられていたもの – フローリング工場の木片端材 ->
およそ長さが15cm、高さが2cm、厚みが7mmの木片端材は、フローリングの表面を覆う、ひき板(無垢材のフローリングではなく、表面にだけ2mm程の無垢材を使用したフローリングを生産するために必要となる材料)を生産する際に、発生するものになります。
当然、元々無垢材なので、非常に質感もよく、高級感があります。
その中には、チークや黒檀(こくたん)のように色の濃いものや、オークやナラ、チェリーのようにナチュラルな優しい色のものもあります。
これらは使い道がないため、ただの燃料として燃やされてしまうのは、非常にもったいないことだと感じてしまいます。これらを利用して、団地での生活の中でより暮らしが豊かになるような、何か良いアイデアはないものでしょうか。
一方、団地住戸の方に目を向けてみると、同じように捨てられてしまうのがもったいないと感じるものがあります。特に大きな住宅設備でいうと「キッチン」です。
古くなったキッチンは、いつか取り替えられる時期がきます。中には賃貸住宅であっても丁寧に使用され、まだまだ捨てるにはもったいないものもあります。
しかし、デザイン的には少し古さも感じてしまうものもあります。
<暮らしの知恵 捨てられていたもの – 古くなったキッチンをリメイク ->
団地でよく使われているキッチンを観察すると、そのほとんどがステンレス天板に白い扉がついたものであることが分かります。そしてそれらの違いは「取っ手」や「つまみ」にあることに気づきます。実際、団地では様々な形状のものが使われています。
そんなキッチンの特徴でもある「取っ手」や「つまみ」を、新たなものに変えることで、キッチンをまるごと新しいものに取り替えなくても、素敵なキッチンに再生することができるのではないでしょうか。
そこで、先ほどのフローリング工場から発生する木片端材を利用して、木調の取っ手を製作してみてはどうでしょう。本物の木であることで感じるその質感の良さや、白いキッチンに木調の取っ手のコントラストが今までにないキッチンとして再生することができるのではないでしょうか。
また、MUJI×UR Plan+Sでは、既存の吊り戸棚をそのまま白く塗装をして生かしたり、既存のキッチンの扉だけを変えて新たにリメイクをし、再生したキッチンを利用することも行っています。
いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。