「団地でサウナ」から考える暮らしの知恵

団地から考える暮らしの知恵100 | 2021.12.21

第二十一回
「団地でサウナ」から考える暮らしの知恵

12月となり、今年もあとわずかになりました。この季節になると、団地の浴室で気になるのは寒さです。団地の浴室は、コンクリート躯体に覆われた壁にタイル貼りのいわゆる「在来浴室」もあります。タイル貼りの浴室は、冬の季節になるとどうしても寒さが気になりますが、いろいろ工夫をしていけば在来浴室の良さも見えてきそうです。
もともと、団地の建設当時(昭和30年代)は、お風呂といえば銭湯に行くのが一般的な時代でしたので、プライベートなお風呂がついた住宅に住めるということは、当時としては本当に画期的なことでした。薪ではなくガスでお風呂を沸かすという機能も画期的で、このような「内風呂文化の普及」に団地の浴室も多くの影響を与えていたようです。
そんな団地の浴室を現代の暮らしにおいて、もっと楽しめるようなアイデアを考えてみたいと思います。
※URではユニットバスの浴室が整備された住戸もあります

<あったらいいな空想レベル – 団地の浴室でサウナ ->

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本格的なサウナをイメージ。コンクリート躯体の壁は蓄熱効果も期待できそう。
※UR賃貸住宅の団地の浴室では、火器を使用したサウナをすることはできません

たとえば火器を使用することはできませんが、本格的なサウナを団地の自宅で実践してみるのはどうでしょうか。
コロナ禍のなか、第3次サウナブームといわれる昨今ですが、ユニットバスでサウナを行うよりも、タイルで囲われた在来浴室の方が雰囲気が出ますし、コンクリート躯体が熱を蓄熱してくれる効果も期待できそうです。
妄想ですが、浴槽の上に、ヒノキでできたフタ兼ベンチに座り、ストーブでサウナストーンを灼熱に熱して浴槽から水を注げば、ミストを発生させた「ロウリュ」もできそうです。
「ビィヒタ」を吊るせば見た目も香りも楽しめそうですが、閉め切った空間で行うので、換気には気をつけて行いたいですね。あと、火傷にも気をつけてください。

※ロウリュ:フィンランドのサウナ入浴方法で、暖められたサウナストーン(香花石)に水をかけて蒸気を発生させること
※ビィヒタ:白樺の枝を束ねたもので、サウナで全身を叩いて血液循環や発汗作用を促したり、壁に吊るして香りを楽しむことができる

<ちょっとした工夫 – ヒノキの風呂フタ ->

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ヒノキ板を使ってDIYで風呂フタをつくる。ヒノキの木の香りを楽しみながら、浴室で過ごす際のテーブルとして機能する

実際には、団地の浴室で本格的に火器を使用したサウナをするのは安全性などを考えると難しいですが、「ヒノキの風呂フタ」だけならDIYで簡単に実践できそうです。
もともと、団地の建設当初(昭和30年代)は浴槽自体がヒノキでできたいわゆる、「ヒノキ風呂!」だったそうですが、そのころはきっとお風呂に入る度にヒノキの木の香りに包まれていたのだろうと想像すると、いまでは逆にぜいたくに感じてしまいます。

そして風呂フタは、家族の人数が多く、沸かしたお湯が次の人のために冷めないようにと配慮するためのものでしたが、現代では、「追い焚き機能」や「核家族化」によって、その役目は薄れています。しかし現代の暮らしを改めて見直してみると、その役目も進化したかたちで役に立ちそうです。

もちろん、ヒノキの木の香りを楽しむという最大の効果がありますが、それに加えてお風呂で過ごす際の「テーブル」としても機能できそうです。お風呂にスマホやタブレットを持ち込んでの長風呂は、最近ではよく行われることですが、木材なので簡単にスリットを付ければ、スマホやタブレットも立てて使用できて便利そうです。

ほかにも風呂フタをしたまま、顔の部分にだけビニール傘(テント)をつけて、浴槽のお湯の湯気をため、ミストサウナが楽しめるような市販品もあります。
※「お風呂deサウナ傘

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ヒノキの風呂フタ+サウナ傘で、ヒノキの香りとともに、効果的にミストサウナを楽しむ

このような組合せ方で、ヒノキの香りとともに自宅の浴室でプチサウナ。
癖になりそうです(笑)

いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見お待ちしております。