「可動棚」から考える暮らしの知恵

コラム | 2021.9.28

第十八回
「可動棚」から考える暮らしの知恵

壁を使った収納の代表的なものとして「可動棚(かどうだな)」があります。

木軸の壁の場合、下地がある位置に通称「ガチャ柱」と呼ばれる棚柱(棚を受けるための金物の柱)をビスで取り付けることで、専用のブラケットを使って壁から持ち出された棚板をつけることができます。そしてガチャ柱には、上から下までおよそ2.5cmの間隔で穴が開いていて、棚の高さも自由に変えることができます。

これらはホームセンターでも売っているので、DIYでもつけることができます。ただし強度は、壁の強さに関係してくるので、石膏ボードなどの強度のない壁にはそのまま付けることはできません。コンクリートの壁もコンクリートドリルが必要になるので、DIYで取り付けるには少しハードルが高くなりそうです。

基本的には、木軸の壁に取り付けることが前提になります。団地の場合、コンクリートの壁が多いので、なかなかガチャ柱を取り付けるところがありませんが、例えばキッチンが取り付く壁の一面にだけは、初めからガチャ柱を付けておくことはできないものでしょうか。

<暮らしの知恵(1) あったらいいな – 可動棚で変化するキッチン ->

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「ガチャ柱」で自由に高さを上下できるキッチン。コンロやシンク、レンジフードの高さも変えられる
※一般的なガチャ柱でキッチンの天板を支えることはできません

団地のキッチンは壁付のことが多く、その分、吊り戸棚や水切りも備わっているので便利なのですが、それらの代わりにガチャ柱が備わっていれば、全てのものが可動することができるので、さらに便利になりそうです。必要なものだけを選んで付けたり不要なものは外してすっきり見せたりできるのはもちろん、通常固定されている、コンロやシンク、レンジフードまでお好みの高さに変化させることができます。ジャバラのダクトやフレキシブルな給排水管を使用することで実現できそうです。

さらには、取り外しが楽なので、メンテナンス工事も簡単に行えます。通常キッチンの交換は大掛かりなリフォーム工事になりますが、この「可動棚キッチン」なら必要な部分の棚板や設備を交換するだけでリフォームが済みます。

<暮らしの知恵(2) ちょっとした工夫 – ガチャ柱キーホルダー ->

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玄関脇の壁一面を可動棚に。ついでに「ガチャ柱キーホルダー」で鍵の居場所をつくる

可動棚キッチンは、キッチン天板の荷重や安全性を考えると、まだまだ実現するには課題がありますが、玄関横に可動棚を設置するのは比較的簡単な上、その効果は抜群です。とくに団地の場合、限られた広さの中では概ね狭い空間になりがちです。しかし、玄関には家族全員分の靴に、長靴などのストック、傘、スリッパ、さらに最近ではマスクや外着など、多種多様なものが置かれ散らかりがちになります。そんなときに可動棚は、壁一面を収納に変化させることができるので、とても便利で機能的です。玄関収納のテッパンといえるものでしょう。

またそのガチャ柱を利用して、ガチャ柱の穴に合うカギ型のキーホルダーを鍵につけることで鍵の居場所をつくれます。さらにカギ型の部分が「ゾウさんの鼻」のようになっているので、「ゾウさん型キーホルダー」にすれば可愛くつくれそうです。笑

また、MUJI×URでも比較的狭かった玄関部分に可動棚を取り付けて機能的な収納を確保したプランもあります。MUJI×URの場合は、あまり初めから収納を用意することは少ないのですが、実験的に取り付けた例になります。


MUJI×UR Plan64(金鶏団地) 既存の玄関収納を解体して可動棚を取り付けたプラン


MUJI×UR Plan16(芝山団地) もともと狭小な玄関の壁面に可動棚を取り付けたプラン

MUJI×URの場合は、可動棚は数枚だけガチャ柱に対して実装されていますが、ガチャ柱に取り付ける金物部材は、メーカーによってたくさんの種類が販売されているので、ぜひホームセンターやホームページで検索をして、お気に入りの部材を増やしてみてください。ハンガーパイプやガラス棚用のブラケットもあります。
ただし「ゾウさん型キーホルダー」はまだないと思います。笑

いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見お待ちしております。