「コンパクトキッチン」から考える暮らしの知恵

コラム | 2021.7.20

第十六回
「コンパクトキッチン」から考える暮らしの知恵

賃貸住宅のキッチンのイメージはどんなものでしょうか。ワンルームの場合、極限までコンパクトになったキッチンをよく見かけます。IHの1口コンロ(ヒーター)に小さいシンク、作業スペースはほぼないというもの…。それに比べると、団地のキッチンは最新のシステムキッチンではないかもしれませんが、最低でも長さ180cmはあり、3口コンロのガステーブルを置くこともできます。収納も吊り戸棚がつき、シンクの下にはフロアーキャビネットがついています。

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一般的な団地のキッチン。長さ180cmの幅にフロアーキャビネット+吊り戸棚が付いている。3口ガステーブルが置けて、レンジフードに給湯器が内蔵されている

そんな団地のキッチンは、良くも悪くも標準的なので、生活をするにはまったく困りません。あとは、住む人がどれだけアレンジして快適に使用できるか、ということになります。せっかく長い時間過ごし料理をするキッチンなのだから、使う人がもう少しだけ料理をしていて気分が上がるようなキッチンになれば、より良い時間が過ごせるのではないでしょうか。

自由に場所を動かせることができるキッチンや、コンパクトだけど料理をするときは大きく変形するキッチン。シンプルだけど広い天板で作業ができるキッチン…など、アイデアは無限にあります。

そんな想いを叶えてくれるキッチンを考えてみたいと思います。

<暮らしの知恵(1)あったらいいな空想レベル「引き出しで拡張するキッチン」>

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料理をするときは作業台が拡張される正方形型のアイランドキッチン。普段はコンパクトに引き出しが収納される

憧れのキッチンの代表は、やはり対面式のアイランドキッチンではないでしょうか。アイランドキッチンの場合、家族と一緒にキッチンを囲んで料理をしたり、リビングにいる家族の様子を見守りながら料理をしたり、家族のコミュニケーションの中心の場になることができます。
しかし、団地のように決して広くはない限られた空間の中では、コンパクトである必要もあります。そこで、普段は作業台やコンロが収納されているけれど、料理をするときにはそれらが自在に飛び出して作業ができる、アイランドキッチンがあったらどうでしょうか。形状も一般的には長細い長方形が多いですが、家族で囲めるように正方形でグルグル回遊できると動線も良さそうです。

さらに、そこから収納されたダイニングテーブルが飛び出してくれば、キッチンとダイニングを一つの空間にできるので、お部屋を一つ余分に使用することができるようになりそうです。

<暮らしの知恵(2)最低限の設備で機能を果たす「ミニマム壁付けキッチン」>

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最低限の設備の壁付けキッチン。天板が大きいので快適に使用するには十分

憧れのアイランドキッチンはとても素敵な暮らしがイメージできますが、壁付けキッチンからアイランドキッチンにリフォームするのは、それなりに費用がかかり設備工事も大掛かりなものになります。壁付けキッチンでも快適な暮らしを実現できる方法はないものでしょうか。

そもそも一番コストをかけないでキッチンをリフォームするには、キッチンの場所を動かさないことです。では、キッチンを設置するのに必要最低限の設備は何でしょうか。それは、給湯器、換気扇、コンロです。これは最低限の設備ですが、これらを取りつけるシンプルで大きな天板さえあれば、壁付けキッチンでも十分に快適な暮らしができます。
天板が大きいことで家族と横並びで作業ができ、壁付けなので部屋も広く使用することができます。

収納はあえて付けないことで、住む人が自由に収納を編集することができます。設備機器と違い、収納はお店で買ってきてもDIYで自分でつくることもできますからね。ゴミ箱を天板の下に収めることも、収納がないことで可能になります。

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「瞬間湯沸器」。水道とガスがあれば地産地消でお湯を作り出す。リンナイ製品(RUS-V51SL)

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「壁付プロペラ換気扇」。ヒモを引くとスイッチが入るのがレトロ。パナソニック製品(FY-15PF5)

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「2口ガスコンロ」。ホーロートップが美しい。リンナイ製品(RD421H3S)

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MUJI×URの持出しキッチンはミニマムな設備機器だけで構成されている(MUJI×UR plan17 武里団地)

いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。