「置き配」から考える暮らしの知恵
団地から考える暮らしの知恵100 | 2021.1.19
第十回
「置き配」から考える暮らしの知恵
1月になりました。年も明けて心機一転としたいところですが、コロナウイルス感染者の急増により、首都圏では年明け早々に緊急事態宣言が発令されました。2回目の緊急事態宣言ということもあって、みんなが冷静に受け止めて行動しているので、スーパーで消耗品を買い占めたりとか、以前のような混乱はないようです。
しかし、飲食店では夜20時までの時短営業など、大人数で飲食を楽しむことはまたしばらく控えることとなりそうです。そして密を避けることは継続され、テレワークの推進、不要不急の外出は自粛するなど、自宅で過ごす時間が増えるのは間違いなさそうです。
このような「巣ごもり」で需要が増えるのが、デリバリーサービスです。コロナ禍において現在では、さまざまな飲食店でデリバリーを頼むことができます。また最近の宅配サービスでは、「置き配(玄関の前など指定の場所に置いてもらうこと)」というものも一般化してきましたが、「非接触型デリバリーサービス」として飲食物のデリバリーにおいても、「置き配」が一般化しようとしています。
では、団地でこの「置き配」は可能なものなのでしょうか。
最も一般的な団地の住棟形状である「中層階段室型」の団地では、階段室を中心に2つの住戸が対面していて、5階までエレベーターもありません。下の写真にあるように階段室は狭く、外開きの玄関ドアの前に「置き配」をするスペースはなく、当然、宅配BOXなどを置くこともできません。
<暮らしの知恵(1) あったらいいな空想レベル – ロボット宅配サービス ->
このような団地においては「置き配」をお願いすることもためらわれてしまいますが、感染防止のためには、「非接触型の宅配サービス」はぜひ試したいところです。そこで、人ではなくロボットによる「宅配サービス」を受けることができたらどうでしょうか。
エレベーターのない5階まで、ロボットが運んでくれるだけでもありがたいですが、当然、感染するリスクもないので、直接、ロボットから料理を受け取ることができます。温かい出来立ての料理を地面に置かずに受け取れるのは気分が良いものです。
昭和の団地建設最盛期の時代は、出前が盛んで店員さんが「おかもち」で運んでくれたり、肩に乗せて曲芸のように自転車で運ぶことが出前の風物詩でしたが、これからはロボットたちがその役目を果たしてくれるのではないでしょうか。
ドローン型の宅配ロボットが、荷物や出前を届けてくれる。直接人と接触することはない
<暮らしの知恵(2) ちょっとした工夫 – 宅配BOX型玄関 – >
先ほど述べたように「中層階段室型」の団地では玄関の外はスペースがなく、さらに玄関ドアは外開きなので、玄関の前には「置き配」はできません。では、玄関の内側の玄関土間を利用してもらうのはどうでしょうか。さらに玄関土間のすぐ手前にもう一つの玄関ドアを設置することで、玄関自体が宅配BOXとして機能するのではないでしょうか。
玄関土間が宅配BOXに変身。直接人と接触することなく、荷物や出前を受け取れる
このように玄関を建具で塞ぐということは、「玄関を宅配BOXにできる」というアイデアだけではなく、室内側から見ると「居住空間から玄関ドアの存在を消す」ということにもなります。玄関ドアの存在を消すことで、廊下や玄関ホールだった空間が部屋の一部として活用できれば、限られたスペースを有効に利用して、テレワークスペースにすることも可能になります。
また、冬場は「玄関からの冷気を塞ぐ」ことにも効果が期待できそうです。
いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。