「こたつ」から考える暮らしの知恵

団地から考える暮らしの知恵100 | 2020.11.17

第八回
冬支度「こたつ」から考える暮らしの知恵

11月になってまた一段と寒くなってきました。冬着を出したり、暖房器具を出したりと本格的に「冬じたく」をはじめた人も多いのではないでしょうか。
昔から日本の住宅は、「夏をもって旨とすべし」といわれるように、団地の住戸においても夏、広い住棟間隔により南北に風が通り抜けるパッシブな設計になっています。では冬はどうでしょうか。

冬の寒さに対して特別な何かがあるわけではないのですが、和室が多いのでヒヤッとするフローリングの床ではなく、畳の床の暖かさを感じることができます。
そして、この団地の和室に最適なのが「こたつ」です。「こたつ」は基本的に床座の生活に対して最適な暖房器具といえます。

そして「こたつ」は暖房器具としての機能だけではなく、昔、ちゃぶ台を囲って家族が集まったように、その魅惑的な引力に吸い寄せられるように家族が集まる、まさに「装置」といえるのではないでしょうか。

<暮らしの知恵(1) あったらいいな空想レベル – 家族のハブになる「こたつ」 ->

家族が集まる「装置」としての「こたつ」には、もっと可能性があるのではないでしょうか。「こたつ」はいわば、「コンセントのついたテーブル」でもあるので、必然的に電源が取りやすい状態になります。
たとえば、天板の縁にはUSBの電源が取れるようになっていて、常にタブレットなどのデバイスを充電することができると便利です。そして、天板の上にスマートホンを置いておくだけでワイヤレス充電ができるようになれば、さらに便利になります。そもそも天板そのものがプロジェクションテーブルのようなタッチパネルになっていれば、もはやPCは必要ありません。
テレビのリモコンも、キーボードも、動画やネットショッピングも、公共料金の支払いも、スマホも充電も、すべて「こたつ」の上で行われます。
家族が集まる暖房器具は、家族のデバイスを繋げるハブとして機能する「装置」として、今後さらに進化するのではないでしょうか。

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※畳の上のこたつの敷き布団はマメに上げて空気を通しましよう

<暮らしの知恵(2) 団地の床座の生活に最適 - 「こたつ」のある暮らし ->

「こたつ」の進化にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、そもそも団地の和室のような床座と「こたつ」は最高の組み合わせです。
そして部屋全体を温めるものではないので、スポット的で経済的な暖房器具といえます。さらにホームセンターなどで「アルミ保温シート」を敷き布団と畳の間に敷くことで、熱を逃さず効率的に暖かくすることができます。
「こたつにみかんとネコ」はまさに日本の冬の風物詩です。

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※UR団地でネコは飼えません

じつは無印良品でも「こたつ」を販売しています。
そして、こたつ布団は洗濯機で洗うこともできます。こたつ下敷と兼用できるラグも販売しており、こちらも洗濯することができます。アルミ保温シートは無印良品の製品ではないので、ホームセンター等で購入ができます。

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アルミ保温シート(一般流通品)

そもそもインテリアとして見た時に、「こたつ」がある空間が「ダサい、古くさい」のように感じるかもしれません。しかし日本人の誰しもが、あのぬくぬくとした暖房装置がどうしても欲しくなってしまう感覚があると思います。

なのでそういう、団地の和室のように、日本人の床座に根差したライフスタイルを受け入れることで、再び、あの魅惑的な引力に吸い寄せられるように家族が集まってみてはいかがでしょうか。

このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。