資産価値のあるリノベーションを考える
無印良品の考えるリノベーション | 2017.11.21
空家問題と中古物件
日本の住宅の大きな課題として、空家問題があります。統計局の統計データでは、2013年の調査で空き家率は13.5%と過去最高になりました。このままいくと、2030年ころには30%を超えるという予測値もあります 。空き家が放置されると、傷んだ家が崩れたり、屋根が飛散すること等により周囲に悪影響を及ぼします。また、不法侵入や不法占拠により周囲の治安に影響することが懸念されています。
安心して暮らせる住まいを目指し、放置されている空き家を出来るだけ減らすように、国も2018年4月から「安心R住宅」という制度を導入する予定です。中古住宅を流通させるために、質の高い安心して売買できる住まいの基準を設ける制度で、この基準を満たす住まいには国のお墨付きが出るということです。一般的に「古くてよくわからない」と不安視されている中古住宅の購入が、この情報開示のしくみが安心材料となり、資産価値のある中古物件より購入しやすくなると考えられます。
耐震基準と断熱性能
「安心R住宅」には、さまざまな具体的な条件があるのですが、大きな項目の一つに「耐震基準を満たしていること」が挙げられています。中古物件にも最低限の耐震性がないと、国はお勧めできないということだと考えられます。具体的には昭和56年6月1日以降の耐震基準(いわゆる新耐震基準)等に適合すること、になります。
また、日本の住まいの断熱性能がこれから大きく変わろうとしています。日本では2020年に住宅の省エネ基準の義務化が予定されています。今までは「断熱なし」の建物を建てることが可能だったのが、環境意識がようやく高まり、今後は必ず規定の省エネ基準を満たさないといけなくなります。オーバースペックということではなく、今まで低かった環境基準がようやく先進国の仲間入りをしたということです。そうなると省エネ基準を満たす建物が「標準」となり、断熱性の低い建物の価値が相対的に下がっていきそうです。中古物件を売却しようとするときに断熱性能も価格基準一つの要素になる可能性があるということです。
無印良品のリノベーション
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、「永く使える、かえられる」住まいをご提案しています。永く安心して住んでいただけるように、2015年発売当初から、手がける物件は新耐震基準を満たしているマンションのみを対象としています。
また、大きな一室空間をつくり、暮らしによって間取りを変えることができ、さらに陽当たりや風通しの良い暮らしを提案しています。その際に、温熱性能が低いとその快適な暮らしが台無しになります。以前のコラム「自分らしい空間に必要なリノベーションの性能とは」で紹介しましたが、快適な暮らしをおくるのに必要な温熱性能を大切にしています。2020年基準以上の温熱性能に標準で対応し、国の基準に沿って計算をしてその性能を数字で表しています。それにより暑さ寒さを我慢しない暮らしが可能になります。もちろん光熱費も下がります。
このように性能が高い住宅には資産価値の向上などメリットがたくさんありますが、何よりも安心して、我慢しないで暮らすことができることが大切ではないでしょうか。ぜひみなさんのご意見や、リノベーション体験談をお聞かせいただければと思います。