# 26 わたしのコツ – 最終回 –
2020年 3月 24日
2019年 5月 14日
今朝の掃除はいつもより少しだけていねいに。なぜかというと、同じ無印良品で働くご近所さんのきいちゃんがうちに遊びに来るから。廊下からキッチンの床までを柄の長いほうきで掃いて、固くしぼった白い雑巾で拭きあげた。時計の針が9を差すころには家じゅうきれいになって、心なしか1トーン明るく見える。開け放った窓からは5月の風が吹き込んできて、肌を撫でるのが気持ちいい。部屋の真ん中に立って大きく深呼吸をした。
今日から元号が令和になって、テレビではずっとその話題で持ちきりだけど、金剛団地はいつもと変わらず静かでやさしい。引っ越してきてまだ3ヶ月も経っていないのに、ここに帰ってくるとほっとするのはなんでだろう? ざわざわ揺れる木々がおかえりって言ってくれてる気がする。きいちゃんが前に話してた「ここに住んでると、都会に行くのが楽しいんだよね」っていう言葉の意味がなんだかわかる。安心して帰れる家がここにあるから、お出かけの魅力が増すんだね。
ちゃぶ台の上で日記を書いていたら玄関のチャイムが鳴った。きいちゃん、なかなかわたしの家が覚えられなくて毎回電話かけてきたけど、やっと覚えてくれたっぽい。
はーい! って返事をしながらパタパタ玄関に走る瞬間が好き。
今日も良い日になりますように。
昨日はきいちゃんと一緒にごはんをつくった。ふつうに家で食べるつもりだったけど、あまりにも外の陽射しが気持ち良さそうだったから、タッパーに詰めて団地の中にある公園のベンチで食べた。途中で腕まくりをしたほどの陽気に包まれながら誰かと食べるごはんは格別においしい。
うれしかったのが、きいちゃんがうちのキッチンをたくさん褒めてくれたこと。
わたしが部屋を選ぶときに大切にしたいこと3つの中に、「思いきり料理を楽しみたい」という希望があった。その願いを叶えてくれる、わたしが5,6人立てるくらい広くて、全体的に白くて清潔感があって、使いやすいキッチン。白って光を反射して、野菜や料理をおいしく見せてくれるんだよね。それに、白を保つために掃除もがんばれる。スポンジだったら替えどきもわかる。
キッチンに立つのが好きだ。夜は静かな団地の部屋で、冷蔵庫から小さい電子音が聞こえてなんだか落ち着いたり。
前は一人暮らし用の小さなキッチンだった。引っ越して収納がぐっと増えたことがうれしかったんだけど、どうしたら上手に収納できるのかがわからなくて、無印良品でインテリアアドバイザーの仕事をしているしろちゃんに聞いたら、張り切っていろいろ教えてくれた。
たとえばこんなこと。
「あおちゃんは背が低いから、よく使う調味料とか食材は上の吊り戸棚よりもシンク下の棚にしまったほうが良いかも」
やけに説得力があるのはきっとしろちゃんも小さめサイズだから。
たしかに、よく使うものをいちいち上から出すことを思うと、料理から足が遠のきそう。家事の小さなストレスって、自分のやる気と直結するし。
というわけで、よく使う調味料や食材はシンク下に。収納力アップの工夫として、しろちゃんに無印良品のスチールユニットシェルフを入れてもらった。この春入荷した新色のライトグレーのユニットシェルフ! キッチンの基調が白だから、見た目の相性もばっちり。
「毎日使うものはしまわないでいい。お皿とか、グラスとか。お気に入りのものだとインテリアにもなるしね」
わたしの愛する食器たちは、お出かけのときに一目惚れしたプレートや、人からいただいたボウル、おばあちゃんの家にあった和食器……、すべて思い入れのあるものばかり。特におばあちゃんにもらった青いお皿は、わたしの生まれた出雲の名産、出西窯(しゅっさいがま)の焼き物。釉薬が深い海のような青で、すごくきれいなんだ。しろちゃんの言うとおりインテリアにもなるし、好きなものが目に入ると気分が上がる。
「収納用品をそろえるだけで、たとえ中が散らかっててもきれいに見える!」とアドバイスをもらって、上の戸棚はポリプロピレンのファイルボックスでそろえた。中身が半透明で見えないのを良いことに、けっこう雑に入れてることはここだけの秘密。
それから、わたしは濡れた手をさっと拭けるように、キッチンの横の窓のカーテンレールに無印良品のフックやステンレスひっかけるワイヤークリップを引っ掛けて、麻のクロスとふきんを吊っている。「これ、省スペースだし衛生的で良いね~」ってしろちゃんが褒めてくれて、鼻の下が伸びた。
「きっちりしすぎないことも大事。なによりも使いやすさが大切!」
わたしのキッチンだから、わたしが使いやすければそれでいいんだ。菜箸が洗い物カゴに出しっぱなしだったり、塩の入れもののフタがちょっと開いていたりしても良い。毎日飲むほうじ茶のパックも、大好きなパスタも、すぐ手の届くところにある。毎日使うからこそ、すこしの工夫と丁寧な掃除さえしていれば、ずっとキレイじゃなくても良い。しろちゃんにそう教えてもらって、気持ちが軽くなった。これが、わたしのキッチン。
あしたは何をつくろうかな。
堺北花田の無印良品はしろちゃんが働いているからよく行くんだけど、この前はじめてイベントに参加してみた。紙と金属でつくる鯉のぼり。紙にカラフルな色を塗って金属に金槌で模様をつけて、子どものころの図工の時間みたいに熱中して、時間があっという間に過ぎたなあ。
これだったら団地でも部屋の中で鯉のぼりを飾れるし。ひとり暮らし女子も、鯉のぼり。いいでしょ。
# 26 わたしのコツ – 最終回 –
2020年 3月 24日
# 25 雨の日をすごすコツ
2020年 3月 10日
# 24 ミルクちゃんのコツ ~親子で団地を楽しむ~
2020年 2月 24日
# 23 URをえらぶコツ2
2020年 2月 11日
# 22 URをえらぶコツ1
2020年 1月 28日
自然溢れる大阪府富田林市のUR金剛団地を舞台に、無印良品のスタッフが実際に一年間住んで感じた「団地ぐらしの魅力」や「感じ良いくらしのコツ」について、無印良品イオンモール堺北花田が全面サポートしてお届けする日記形式の回想レポートです。
さらに詳しく
2020年3月24日
2020年3月10日
2020年2月24日
2020年2月11日
2020年1月28日