団地の商店街暮らし、はじめました

団地の商店街暮らし、はじめました

新しいお店、「団地テーブル」ってなに?

2024年 12月 27日

新しいお店、「団地テーブル」ってなに?

こんにちは。団地商店街暮らしレポーターのトーリーです。

早いもので、2022年7月に花見川団地に住みはじめてから3度目の冬がやってきました。
商店街もリノベーションをしたことにより、商店街が明るくなり、人も増えた気がします。引っ越してきてすぐの頃は、少ない仲間で花見川団地を盛り上げようとイベントやワークショップなどを頑張っていたのを思い出します。
今回ご紹介する方は、僕と同じ時期に花見川団地に引っ越して、ずっと一緒に花見川団地を盛り上げる企画を考え、取り組んできた花見川団地居住者の岩宗さん(いわむねさん)です。

岩宗さんは公共空間のコンサルタントの会社で働きながら、商店街の中に「団地テーブル」というおしゃれなお店を最近オープンさせました。花見川団地に3年近く住んでいて、ついにできたお店はどのようお店なのか?
今まで活動してきた岩宗さんの思いやこれからの活動などをインタビューで聞いていきたいと思います。

団地テーブルの岩宗さん

トーリー:岩宗さん、こんにちは。
突然ですが、岩宗さんはいつから花見川団地に住んでいますか?

岩宗さん:こんにちは。2022年1月に花見川団地の分譲の部屋を買って、3月に引っ越して、そこから住んでいます。

トーリー:僕が2022年の7月からなので岩宗さんの方が少し早いですが、本当に同時期ですね。
団地に住む前に、これから住む仲間として都内で一緒に飲んだのを覚えています。当時20代の岩宗さんが分譲のお部屋を買って、花見川団地に住もうと思ったきっかけは何だったんですか?そもそもなぜ花見川団地を選んだのですか?

岩宗さん:当時働いていた会社がURさんとお仕事をしていて、花見川団地の中央公園でイベントをしていた時に企画運営で来たのが最初です。確か2021年の10月だと思います。
最初来て思ったのは、「なんかめっちゃ人集まるやん!」って思いました。当時の商店街はよく言えばレトロな雰囲気で、こどもがあまりいなくて…。イベントをすることで人が集まるかなと思ってイベントを開催したら1000人ぐらい来てびっくりしました。後は中屋フルーツに元気な人がいるなって。笑

トーリー:来たタイミングは全く同じですね!僕は同じ10月にMUJI HOUSEの仕事で無印良品の「頑丈収納ボックス」にセットできるテーブル作りのワークショップをしていました。それが最初の取り組みです。
元気な人は、大澤さんですね。笑 確かにすごい元気な店主さんがいるなと思いましたよね。引っ越してくる時に大澤さんがいるっていうのは決め手になりましたし。イベントも商店会や自治会さんがずっと続けてきていたので定着していたんでしょうね。そこからどうして住もうと思ったんですか?

岩宗さん:当時、僕は26歳で、30歳までに地域の活性化にかかわることをやりたいと思っていました。プライベートと仕事、どちらでもいいので活動できるいい場所がないかを探していて、ちょうど花見川団地に来た時にいい場所があるなと思ったのがきっかけです。
あと、引っ越して来る前は、府中市のマンションに妻と住んでいたのですが、丁度こどもが生まれるタイミングで子育てのことを考えていて、二人とも実家が九州なので、近くに実家がない中、のびのびと子育てができて、安全性や人との関係性がある場所、自然や保育園が充実している場所、ひとりにならないところが団地にはあるなと思い引っ越しを決めました。
団地には、団地ならではのコミュニティがあって、今は、子育て世代とのつながりで商店街の中でこどもと妻が遊んだりしているのをみると引っ越してきてよかったと思います。

トーリー:団地ならではのコミュニティがありますよね。商店街に来れば誰かに会えるし、話が弾む場所。以前インタビューしたTHEコンテナの大塚さんも同じこと言っていましたね。
岩宗さんとは花団未来会議を一緒に企画をしたり、イベントを運営したりしていましたが、他は何をしていましたか?
あと、思うような地域の活性化の取り組みができていましたか?

岩宗さん:他にもイベントの広報部として写真や動画を撮ってまわったり、商店街店舗のPR動画を作ったり、 「お休み処 えがお」で流す動画も作っていました。でもやっぱり大塚さんやトーリーさんみたいな拠点が欲しいとはずっと思っていましたね。

トーリー:そんな思いもあって団地テーブルができたんですね?今年の11月にプレオープンした団地テーブルはどんなお店ですか?

岩宗さん:団地テーブルは、「ご近所以上、家族未満の関係を地域で育む複合交流拠点」で4つのコンテンツがあります。日替わり食堂(シェアキッチン)、シェアリビング、シェアハウス(社宅)、シェア本棚があります。

提供:SPROUTZ Studio

団地テーブルHANAMIGAWAとは?

団地テーブルHANAMIGWAは、食やイベントを通して地域の人々が集まり、交流を深めるあたたかい場所。 ご近所さんとのご飯や、新しいことに挑戦する楽しさ。多世代でシェアする暮らしは、きっとあなたの毎日を豊かにします。

団地テーブルの4つのサービス

①日替わり食堂(飲食店営業許可、菓子製造許可)
・菓子工房付きシェアキッチン
・飲食の販売も可能
やってみたい!を叶える日替わり店長募集中!!!

②シェアリビング
・共益費(サブスク)でプライベート利用が可能
・シェアハウス(社宅)、UR賃貸住宅、分譲に住んでいる人もシェアコミュニティに入れる!
・絆家シェアハウスのコミュニティサービス利用可能(年1回のキャンプイベントなど)

③シェアハウス(社宅)
・母屋(団地テーブル2階)と離れ(分譲)があり選択可能
・団地テーブルのコミュニティビルダーにもなれる!
・住みながら小商い。住みながら地域活性化
一緒に盛り上げてくれる入居者募集中!!!

④シェア本棚
・月額で好きな本を置ける
・本以外も相談によって設置可能
・本や商品の販売も可能

トーリー:1年ほど前から岩宗さんから話は聞いていましたが、いよいよできましたね。団地テーブルを作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

岩宗さん:さっきの話にあったように、地域の活性化の取り組みをするときに、商店街に拠点があればいいなと思っていました。拠点があれば自由に取り組みができるし、自分のキャラクターも表現できる。イベントの企画運営だけでは盛り上げに関わっていない感覚があり、いつか商店街に拠点を作りたいなと計画していました。

団地テーブルは平岡さんと浅子さんと共同主宰で運営していますが、企画が生まれたきっかけは2022年に平岡さんと出会ったことです。平岡さんはいろんな地域でシェアハウスを17年間もやっていて、そんなノウハウを持った平岡さんが新しく「多世代でシェアする場所」が欲しいと言っていました。
シェアハウスって若い人だけのイメージがありますが、「多世代でシェアできる場所」というのは、単身でも家族でも高齢の方でも、一緒になってシェアできる場所です。
平岡さんは、もともと団地で育ったというのを聞いて、「その企画、団地でできるかも!」「花見川団地という面白い場所があるよ!」とお勧めして、花見川団地に来てくれました。

そこから、僕の「拠点を持って盛り上げたい」という思いと、平岡さんの「シェアする暮らしを多世代でおこないたい」という思いが合致して事業計画を1年前ぐらいから考え始めました。
その間、団地を知っていく活動として、「一緒に商店街でゴミを拾って、コーヒーを飲む」取り組み(Cleanup Coffee Club)をしたり、商店街イベントで商店街の人と一緒に焼きとうもろこしを販売したりしていました。

Cleanup Coffee Club の様子

左から:浅子さん、平岡さん、岩宗さん

3人の役割と自己紹介

平岡 雅史 プロデュース
僕が幼少期に暮らしていた団地には、『ご近所以上、家族未満』そんな言葉がぴったりの関係性がありました。そして、25歳の時にシェアハウスに出会ってからの17年間は、共同生活の中で、自分にとって特別に大切な人が増えていくのを実感してきました。今の暮らしの原体験になった団地で「まるで家族」と思えるようなシェアする暮らしを多世代で実現したい、その想いから今回のプロジェクトを発起しました。大切な人が身近に増えるだけで、人生はもっともっと豊かになるはずだから。

岩宗 勇希 コミュニティデザイン
団地暮らし3年目のコミュニティデザイン兼映像クリエイター、むねっちです。私は地域の活性化に貢献することを志し、縁あって約2年前に花見川団地に移住してきました。《団地の旗印》をコンセプトに、団地内外の人が花見川団地の活動に気が付き、活性化に参加したり応援したりすることができる『花団もりあげ隊』に参画しています。団地テーブルでは、新しい企画を考えたりワークショップの運営を行ったりしています。妻とこども2人の安心安全な暮らしのために、身近に大切な人を増やしていきたいです。

浅子 雄祐 設計・クリエイティブ
団地暮らし1年目の建築家、あさこです。私は日本と北欧で建築を学び、国内外で老若男女がつかう場所を設計してきました。東京に暮らしていましたが、独立をきっかけに花見川団地を訪れ、古くも新鮮な佇まいや水面下で動く企みたちに心が踊りました。私自身は地域のロングセラー、永く使い倒される場所を作りたいという想いで、モノとコトの領域を跨いだデザイン活動をしてきました。「団地テーブル」ではクリエイティブ担当として、次世代の暮らしまで豊かにするような拠点を企てたいと思います。

(団地テーブルのクラウドファンディングのHPより参照/CAMP FIRE)

岩宗さん:平岡さんが言っていたのですが、平岡さんは、花見川団地に「花団もりあげ隊」があるのをとても喜んでいましたよ。多世代の人が集まって団地を盛り上げている活動がある団地は見たことがないって。平岡さんも浅子さんも花団未来会議から参加されているので、団地外の人がコミュニティに入りやすい場所、プラットフォームとして、来たくなる・来やすい活動だというのでとても感謝しているそうです。これからも「花団もりあげ隊」は細く長く続けていくのが良さそうですね。

トーリー:ありがとうございます。そう言っていただけると頑張って続けてきた甲斐があります。「花団もりあげ隊」は岩宗さんも含めみなさんで作ったようなものなので僕も感謝しています。
花見川団地に来てから3年経ちましたが最初来た時と今のイメージは変わりましたか?

岩宗さん:変わりましたね。住む前は、「100円商店街」や「団地マルシェ」、「夏祭り」のときに、どこから来たんだ!?とびっくりするぐらい人が集まるけど、平日は全然人がいないなと思い、「これは何か歯車が嚙み合うと人が集まるのでは?」「地域活性化のポテンシャル盛りだくさんの団地なのでは?」という印象でした。
実際住んでみると、住んでいる方のマナーや気になるところが見えてきてしまい、子育てするうえで少し困る側面も見えてきましたが、、笑。でも、保育園が近いし、病院や薬局など生活インフラが徒歩圏にあり、友達もたくさんできたといった良い側面も感じています。実際に花団メンバーの奥さんやこどもたちとも仲良くしてもらってとても助かっています。

地域活性化のポテンシャルに関しては、想像していたよりは難しいなと感じています。何よりも子育て世代が平日や休日に商店街に来ないライフスタイルが定着しているので、新しい取り組みが始まっても気づかないし気づきにくい。そういった方々を巻き込んでいく企画やコンテンツがもっと必要になってくると思っています。
何よりも団地のブランディングをもっと変えていかないといけないと思うので、発信力のある取り組みが必要になってくると思っています。シニアの方にとっては、商店街は必要なインフラとして確立しているので、新しい取り組みに対して、主に口コミや賑わっている様子を外から眺めるようなことで、次第に噂が広まり、拠り所が増えていくのではないかなと思っています。

トーリー:さすがですね。これからのことも考えていますね。そういった活動を団地テーブルでおこなっていく予定ですか?団地テーブルは、今後はどうしていきたいですか?

岩宗さん:団地内に対しては、口コミで認知度を広めるために、できるだけシャッターを開ける日を増やして、今の団地にあるコミュニティの人が利用できるような貸し出しをして、利用して良かったと思ってもらえるような経験ができる場を積極的に作っていきたいし、そういった方に対する応援をおこなっていきたいと思っています。

団地の外に対しては、団地や地域の活性化に興味がある人、新しい拠り所を求めている人に情報が届くように、外の事業者とのコラボレーションやトークセッションなど、情報発信を積極的に行っていきたいです。そうすることで、団地が地域に開いていく場所になるきっかけにもなるといいなと思っています。
今年の11月に「千葉国際芸術祭2025」とコラボして「かえっこバザール in 花見川団地」をやったのも、より若い人に発信したかったのと、団地外の組織との繋がりを増やしたかったからです。たくさんの方に喜んでいただきよかったです。

2024年11月の「100円商店街」でおこなわれた「かえっこバザール in 花見川団地」の様子

「かえっことは?」
おうちであそばなくなったオモチャを「かえっこ」しよう!
「かえっこ」はこどもたちが主体となって地域のさまざまな場所に活動をつくるアートプロジェクトです。アーティストの藤浩志さんが考案し、全国各地で開催されています。
かえっこではこども通貨「カエルポイント」を使って、活動とこどもたちをつなぎます。遊ばなくなったおもちゃをカエルポイントに交換したり、そのポイントでおもちゃを持って帰ったりすることができます。おもちゃを持っていなくても、ワークショップやお手伝いに参加することで、ポイントをもらえます。
(千葉国際芸術祭2025のHPより参照/CAMP FIRE)

トーリー:団地の中と外の活動、これからも両方とも必要ですよね。
最後の質問ですが、みなさんにも聞いていて、岩宗さんにとって花見川はどんなところですか?

岩宗さん:地元以外でお友達ができたところですかね。笑
なんだかんだ社会に出ると上司とか部下とかって関係で、友達とまではいかないじゃないですか。
でも僕がここに住み始めてもうすぐ3年経ちますが、多分20人ぐらい友達ができたんだと思います。なんかそれってすごいことだなあと思うし、地元以外でこういう暮らしができる、こういう人間関係ができるっていうのは初めての経験でした。そういう意味では花見川は忘れられない場所になっているんだと思います。私の人生を変えていると言っても過言ではないでしょう。笑

トーリー:ありがとうございます!なんか熱い気持ちで岩宗さんらしい終わり方ですね。笑
これからも一緒にもりあげて行きましょう!

以上、花団メンバーとして一緒に活動している団地テーブルの岩宗さんでした。
次回も同じ団地テーブルのメンバーで店舗設計を担当した浅子さんにお話しを聞きたいと思います。

トーリーでした。

団地テーブルの基本情報
・住所:千葉市花見川区花見川2-42-105
・営業時間:9:00〜21:00(予定)
・Instagram:@danchitable_hanamigawa
・公式LINE:https://lin.ee/2ajXXWL
・メール:danchitable@gmail.com

このブログについて

千葉県千葉市花見川区に、昭和43年にできたUR花見川団地
マンモス団地と呼ばれる、約5,700戸もある団地住人の生活のを支えているのが、花見川団地商店街。

その商店街に住みながら、新たな自由な暮らし方を発見する「団地の商店街暮らし」のレポートがはじまります。

いままでは商いが中心だった団地商店街で、どんな暮らし方ができるでしょうか。

さらに詳しく

カテゴリー