
公共空間木質化事業 福井県済生会病院 [バス待合室]
コラム
2025.10.10
【連載】無印良品とつくるオフィス
コラム
当社が空間法人部門を立ち上げるよりも前、2018年に縁あってオフィス設計を依頼してくださったアドバンド株式会社は、IR・組織活性化・販売促進にまつわるコンサルから各種制作物の企画・編集・ライティング・デザインまで一気通貫して行っている企業様です。今回、社員数の増加や、経営方針の見直しもあり、7年ぶりにオフィス移転をされるということで、再びご依頼をいただきました。
前のオフィスで愛着を持っていた家具を活かしながら、来訪されるお客様に対して会社の顔になるような、そんなオフィスにしたい、というご希望をもとに、私たちが大切にしている「循環」の考え方を取り入れながら、一緒にオフィス設計をしています。今回はオフィス移転プロジェクトを担当された、アドバンド株式会社の鳥居さん、石井さん、冨田さんにお話を伺いました。
2度目のオフィス移転も、良品計画で
―まずは、今回のオフィス移転のきっかけを教えてください。
鳥居:ここ数年、弊社では会社の経営方針を見直す、大切な時期を迎えていました。そうすると自ずと社員の意識改革やスキルアップが必要になったのはもちろん、お客さまから弊社に対して好感や信頼を感じていただくために、オフィスのあり方を検討する必要が出てきたんです。
石井:コロナもありましたね。2020年4月から社員全員が在宅勤務になり、2021年からは在宅と出社と選択できるようになりました。そんな中で経営方針が見直され、仕事のレベルが上がったことに対してチーム一丸となって取り組むことが必要になったものの、働き方が異なるので社員同士のコミュニケーションがうまくいかないことがあって…。そこで、全員出社に戻すことを検討したのですが、元のオフィスでは狭かったり、会議室がなかったりで、人も呼べないし、これでは出社できない、と。そこで、全員出社は新しいオフィスに移転してから、と方針を決めて、今回のプロジェクトを始めました。
アドバンド株式会社 鳥居さん
アドバンド株式会社 石井さん
―2018年のオフィス移転の際にも当社にご相談くださっていますよね。まだオフィス設計の部署がない中でのご依頼は、私たちにとっても非常に印象的なお仕事でした。
鳥居:そうなんです。私と石井は前回のオフィス移転の時も担当で、当時から2度目のオフィス移転を見据えて計画していたこともあり、今回もまた依頼したのは自然な流れでした。
石井:2018年の移転の際に「日本の木でできた家具」を採用して。オフィスの掃除も自分たちで行っていたので、この数年で家具にも社員それぞれ愛着が湧いていました。次の移転も見据えた時に、良品計画さんの、手入れをして持続的に使っていくという考え方が、弊社にはピッタリだなと思っていました。
旧オフィスで使っていた「日本の木でできた家具」や棚板を活用している
ふつうとくふう
冨田:私は今回の移転プロジェクトからチームに入ったんですが、単純にオフィスを拡大するだけではダメだなと思ったのを覚えています。社員からも、「社員同士が気兼ねなくコミュニケーションを取る場所が欲しい」と要望がありましたね。
鳥居:今後の事業の拡大を見据えた時に、今の倍の広さは必要だろうと思っていました。でも自分たちがしたいことに合うオフィスと言っても難しいので、物件選びのタイミングからご相談をさせていただいたんです。将来的な人数だけでなく、対面やWebも含む会議の頻度、理想のコミュニケーション方法など、イメージする働き方をざっくりとお伝えし、物件選びのポイントからアドバイスをいただきました。
石井:ちょうど良品計画さんもオフィスを移転したタイミングだったので、まずは目線合わせをということで飯田橋の新オフィスにお招きいただいて。シンプルな家具でありながら、素材の良さや愛着の掛け方に工夫を持てるようにと「ふつうとくふう」というコンセプトが掲げられていたんですが、その言葉がしっくりきたので、私たちも社内にそう発信をすることにしました。つくったら終わりではなく、移転後も継続的に改善できる兆しが込められているのも良いですよね。
アドバンド株式会社 冨田さん
各々が好きなスペースで仕事ができるように
一緒につくる
―前回の移転を経て、今回特に変化を感じる部分はどこですか。
石井:1つは整理整頓のルールと収納です。私たちは、日々たくさんの印刷物や資料を使います。2018年のオフィス設計の際も、備品の管理の仕方や物の整理について一度ルールを作ってもらったのですが、7年経ち社員も倍近くなったので、それを守れない部分も出てきました。社員全員を巻き込んで、皆で心地よく使える仕組みづくりをしたいなと。
改めて現状の物の管理ルールをお伝えして、実際に収納したいものを見てもらい、収納設計をしてもらいました。ある資料は、これまではオフィスに3箇所あった収納場所が1箇所に集約されて。ルールも決まったので、これからは気持ちよく使えそうです。
継続して運用されている整理整頓のルール
前回の提案から収納設計をアップデート
鳥居:オフィス全体のゾーニングも秀逸でしたね。今回のオフィスでは、資料を閲覧するエリア、打ち合わせができるエリア、集中するエリアと3つのエリアに分けていただいています。また、作業をするところは長机、コミュニケーションをとるところは丸テーブル、と分ける提案を受けました。形が違うというシンプルなことですが、それだけでもコミュニケーションの質が変わったことを実感でき、とても感動しています。
新設した小会議室も、あえて半個室にすることで、効率的に執務スペースの座席が確保できたり、空間に賑わいを与えたりと、良品計画さんならではの空間づくりが表現されたプロダクトだと思います。
最初の頃、いくつかのレイアウト案を見せていただいて、同じスペースでも、設計の仕方でこんなにも滞在の仕方や見え方が変わるのかと驚くとともに、オフィス移転の成功を確信した瞬間でしたね(笑)
今回新設した半個室タイプの小会議室
冨田:旧オフィスで使っていた家具や棚板を、そのまま活用できたのも嬉しかったですね。サイズが合わないものは成形し直していただいたり、旧オフィスで若干使いにくかった部分は微調整いただいたり。コスト面はもちろんですが、丁寧に使っていて愛着があったので、その思いを汲んでくださったのは、「循環」という思想が根付いている良品計画さんだからだなと思っています。
石井: 2回の移転をご一緒させていただいて思うのは、一緒につくっているという感覚ですよね。対面での打ち合わせを大切にしてくださいますし、話し合って一番いいところを一緒に決めていっている感じがします。毎回の打ち合わせが楽しいんですよ。
鳥居:そうですね。一緒につくっていったからこそ違和感なく大きなオフィスに移転できたなと思います。使いやすさが確実に上がり、改良もいただき、社員に対してアップデートした感覚を持ってもらえたのがよかったです。
私たちらしい、自慢のオフィス
―オフィス移転をして約4ヵ月が経ちますが、社員の方の反応はいかがですか。
鳥居:社員から「働きやすくなった」という声が出ているのはもちろんですが、来社したお客さまの反応が非常に好意的で驚いています。木を多く使ったオフィスはそうないので、デザインにまず驚かれます。フロア全体の仕切りもないので、コミュニケーションの力を商売にしている私たちの姿が体現されているようにも感じてもらえているようです。そういったお客さまの反応を見て、社員も自信を持って来社のお誘いができるようになりました。
冨田:私もそうですが、若手からすると「アドバンドの社員」であることにこれまで以上に誇りを持つことができるようになったので、お客さまとコミュニケーションをとる時にも自信が持てるんですよ。あとは、これまでは休憩時間を自席で過ごす社員が多かったのですが、今は休憩スペースを活用してもらえているので、休憩時間と仕事の時間にメリハリが出来たのも大きな変化ですね。
社員同士のコミュニケーションも自然と生まれる
―最後になりますが、このオフィスが今後どのように育っていくといいと思いますか。
石井:世の中に、いいオフィスはたくさんあると思うんです。かっこいいオフィスやインパクトがあるオフィス等。私たちのオフィスは、アドバンドの空気感や人柄を体現しているような、そんな風に見てもらえるといいですね。
鳥居:個人的な考え方ですが…ワークライフバランスという言葉がありますよね。私は、実際にはワークとライフは天秤にかけられるものではなくて、ライフの中にワークが包含されていると思うんです。
オフィスは、人生でも比較的長い時間を過ごす場所ですから、仕事に取り組みながら、人間としても育っていくし、人間関係も育っていく。そして、オフィスも育っていく。そんな家みたいな場所になっていくといいですね。
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