11月9日(土)に花見川団地商店街恒例の人気イベント「100円商店街」が実施されました。
各店舗が店先に100円の商品を並べて販売します。販売店をまわるスタンプラリーになっていて、イベント終わりにはビンゴ大会も楽しめるため、毎回多くの方が商店街にお買い物に来られます。
今回ご紹介する方は、この大人気の100円商店街を11年前からイベントの企画・運営をしている中屋フルーツの大澤さんです。
大澤さんはこの商店街になくてはならない存在で、中屋フルーツの店主の他に花見川団地商店街振興組合の理事長、
花団もりあげ隊の総隊長も務めています。
みんなから愛されている大澤さん曰く「理事長と総隊長をやっていて、実は俺は偉い人なんだよー。笑」とのこと。
そんなユーモアあふれる大澤さんに昔の商店街の苦労話やこれからの思いなど少し真面目な話をご紹介していただきます。
トーリー:大澤さんこんにちは。いよいよ大澤さんをご紹介する時が来ましたね!インタビューよろしくお願いします。
大澤さん:ありがとう!全然紹介してくれないからわざと紹介されないかと思ったよー笑
トーリー:そんなことないです。笑 満を持してです。大澤さんは花見川団地にはいつから住んでいて、創業100年も続いている中屋フルーツでいつから働いているんですか?
大澤さん:生まれも育ちも花見川団地です。なのでもうすぐ50年に近くになるね。もう50年か・・・。 (トーリー:しみじみですね。笑)
小学生とか小さい頃からお小遣いもらうために手伝いをしていました。昔も今と変わらず両親が働いていて、他に従業員もいたので、従業員と同じようにノートに手伝った時間を書いていました。
トーリー:もうその頃から従業員としてカウントされていたんですね!笑
今はご両親と大澤さんと3人でお店を運営していますが、昔は従業員もいたということは昔の方が忙しかったんですか?
大澤さん:そうだね。小学生の時は、みかんが1日100ケースも売れていたね。
100円商店街とは比にならないぐらい毎日賑わっていて、夏祭りぐらい人がいました。もちろん商店街の全部のお店が開いていたし。
2024年の花見川団地夏祭りの様子
トーリー:昔から商店街に住んでいる方は、よく例え話で渋谷のスクランブル交差点ぐらい人がいたと聞きます。肩がぶつかるぐらいとか。昔は商店街にどんなお店があったんですか?
大澤さん:昔は南側と北側で八百屋が4軒、中屋フルーツは、昔は果物屋だったので果物屋が1軒。肉屋は南と北で4軒と魚屋もありました。飲食店は蕎麦屋、寿司屋が2軒、ケーキ屋があったかな。南側は生鮮三品や飲食店が中心で、北側はミシン屋、カメラ屋、お茶屋、文房具、パン屋、薬屋、本屋、クリーニング屋、花屋などの専門店が多かったよ。
北側に好きなお店で「一心堂」というおもちゃ屋があって、子どもにとってもう楽園。アーケードゲームやゲームを楽しむ子どもたちで毎日溢れかえっていたね。
昔の商店街の様子
トーリー:本当に商店街に全てのものが揃っていたんですね。
噂で聞いたことがあるのですが、北側に子ども達に大人気の手羽先が食べれるお店があったとか?
大澤さん:そうそう!「新山」という中華料理屋で学校帰りの子ども達がみんな手や口をベットベトにして食べていたねー。懐かしい!
トーリー:ベトベトってタレですか?油ですか?笑
大澤さん:油と衣がいっぱい付いた手羽先で20年前ぐらいまでやっていたね。
トーリー:そのベトベトなんですね。いいですね!食べてみたいです。笑
昔あった店舗は、今は少なくなっていると思いますが、感覚的にいつから商店街のお店が閉まり始めたのでしょうか?
大澤さん:何年前かは覚えていないけど、30年前ぐらいから徐々に閉まってきた感じかな。団地居住者の高齢化と近隣にスーパーがどんどんでき始めて、商店街にあった百貨店系ストアが2000年前後に撤退して、さらにシャッターが増えてきたかな。
もちろん居住者の高齢化だけではなく、商店街店主の高齢化や担い手不足、世代交代する時に売り上げが見込めないことで子どもに会社勤めを勧めてお店を閉めるといった動きがだんだん多くなってきたね。
トーリー:全国でよく聞く話ですが、実際に体験した話を聞くと色々考えてしまいますね。そんな中、中屋フルーツが続けていけているのはなぜですか?後、商店街の活動も続けているのはなぜですか?
大澤さん:やっていけているかというと、当時は2店舗あったのが今は1店舗になって従業員もいなくなっているので、当時とは環境がだいぶ変わっているけどね。昔は店を開けて、物を置いたら売れる時代で商売の工夫をしなくても売れたけど、そうではなくなった時に時代と共にマイナーチェンジして工夫して残っているのが今の店舗だと思う。
中屋フルーツの2軒が1軒になったのも経費を下げるためで、外に出して販売していたフルーツを冷房の効いている店内に入れることで傷んで廃棄しないように、無駄を無くしてマイナーチェンジしていきました。
商店街の活動は20年以上前から理事としてやっているけど、当時20代で最年少だった俺はいつのまにか商店街のなんでも屋になっていて、商店街や団地で必要としてくれる人がいてくれたんだ。そういったつながりで花見川団地に残ってくれた人もいたんだよね。
中屋フルーツは3人(両親と自分)で働いているから、様子を見ながら自分はお店を抜けることができて、商店街のなんでも屋としてみんなの悩み事を聞いたりできたことで、今なおお店を続けてくれている人もいる。
また、自分もそうやって頑張ってきたことで、ここまで踏みとどまってこられたのだと思ってるよ。
中屋フルーツの店内の様子
トーリー:大澤さんがこの商店街を支えていると言っても過言ではないですね?
大澤さん:いやいやいや。みんな頑張っていて、みんな商店街のことを考えているから。ただ少しだけ商店街の下り坂を曲げていたのはあるかもしれないけどね。笑
トーリー:なんか難しい表現ですね。笑 でも、色々苦労や工夫をされてたのはわかりました。「100円商店街」も商店街に人が来る仕掛けとしてやり始めたんですか?企画したのは大澤さんですか?
大澤さん:100円商店街は今年で11年目で今までで25回開催しているよ。始めたのは俺が商店街をどうするべきか考えていた時に紹介してもらったアドバイザーに教えてもらったのがきっかけだね。当時、山形でやっていた事例で商店街に人が集まるだけではなく、ちゃんと商店街の商品も売れて、商店街の特性も活かせる。企画通りにやれば人が来ると教えられて当時は一人で店舗に向けた説明会をしていたけど、忙しくて人が来ないから1軒ずつ店舗に行って話をして、チラシやポスターを作ってと大変だったんだよー。でもイベント当日にすごい人が来てほんとびっくりしたね。
そこから、やれば人が来てくれるイベントになったので手伝ってくれる人が増えて、学生のボランティアも来てくれて。
昔の100円商店街の様子
トーリー:そうなんですね。ではそこから多くの方とイベント企画をしていたんですか?
大澤さん:それがそうでもなくて。やり始めて5年間ぐらいは、理事や店舗と一緒にやっていたけど、やっぱり店舗は忙しくて手伝えなかったりして5年目以降ぐらいからは商店会事務所とひろき(大澤さんの幼馴染)とやっていたかな。
でも一人ではなくて一緒にやってくれる友達と商店会の事務所があって継続できているのもあるね。
トーリー:なかなか企画・運営するのは難しいですよね。でも「100円商店街」は今でも続いていてすごいですよね。いろんなコンテンツを企画して実施していたと聞きましたが、他はどのようなことをおこなっていたんですか?
大澤さん:「100円商店街」は当初は年4回もやっていて、でも徐々に大変になって年3回にしたけれど、コロナ禍になり2年間ぐらい開催できなくて。コロナが明けてからは年2回開催しているね。
本当に色んなことをやっていて、ブラスバンドやサンバ、ヒーローショー、消防団を呼んで防災訓練もやったし、演歌歌手のコンサート、チアリーディングとかも。
人気だったのが、子ども向けのゲームラリーで輪投げやストラックアウト、ボーリング、金魚すくい、射的とかを順番にまわって点数を競うというのは何年もやっていたけどこれも大変だったね。他にもビアガーデンや夏祭りもあるし。
トーリー:ジャンル問わず、すごい色々やってますね!笑 全部大澤さんが企画していたんですか?
大澤さん:そうだよー!大学まで行って説明したり、ボランティアさんに説明したりして関わる人もどんどん多くなってきたから「100円商店街」までの調整、前日は準備で大変だし、イベント当日に雨が降って変更や中止になったらどうしようかと一人でずっと心配していたねー。
トーリー:イベント前日はすごく心配になりますよね!ほんとお疲れさまです。。。
大澤さんの苦労話を聞き過ぎて、このままだと一緒にお酒飲みに行ってしまいそうなので、ちょっと前向きな話と今の話をしましょう。笑
大澤さん、花団もりあげ隊ができてよかったですね!
大澤さん:そうだね。イベントをひとり、孤独でやるものでなくなったね。
前日準備して、当日お店で販売して、ビンゴ大会で司会して、片付けまでやるのが大変で。企画を1人で揃えていたのが、今は店舗や花団メンバーが自由にそれぞれ企画してくれるし、トーリーがビンゴの司会をやってくれるようになったのもほんと助かる。
(2年前からビンゴ大会の司会をトーリーがやっています)
大澤さん:「100円商店街」のイベントに来る人たちは、毎回同じことをやっていても飽きてしまうから常に新しい取り組みをしたいけど、一人ではもう限界があったのが今はやるのが楽しみになったね。
みんなで終わった後の打ち上げも楽しみだし。
トーリー:仲間がいっぱいできてよかったです。THEコンテナでやっているイベントの打ち上げはみなさんとても楽しそうですよね。これからもぜひ一緒にもりあげていきましょう! 最後に大澤さんは今後この商店街をどうしていきたいですか?
大澤さん:今、新しい店舗や関わる人が増えてきているので、このまま商店街のいい流れを膨らませていきたいと思う。どうしても新しく入る店舗と出ていく店舗が出てしまうけれど、新しく入る店舗が出ていく店舗より上回る場所にして、存続できる流れにできたらいいなと思う。
花団もりあげ隊は、商店街としても自分としてもとても助かるし、嬉しいことで感謝しているよ。今は、新規店舗や近隣の大学生・企業が一緒になって盛り上げているけれど、これからの自分の役割としては、昔からいる店舗の人たちとも企画をしていきたいと思うかな。お店が忙しかったり、店主の高齢化も進んでいるけど、どうにか一緒にできる方法を考えていこうと思う。
後は、自分の息子が中屋フルーツやこの商店街で商売をやりたいなと、継いでもいいなと思えるような商店街にしたいと思う!まだまだ頑張っていくよ!
トーリー:ありがとうございました!大澤さんの昔の苦労話やこれからのことを改めてお聞きできて何よりでした。結構真面目に話しましたね。笑
これからもよろしくお願いします!
以上、中屋フルーツの店主の他に花見川団地商店街振興組合の理事長、花団もりあげ隊の総隊長の大澤さんでした。
次回も花見川団地で活動する方へお話しを聞きたいと思います。
トーリーでした。