vol.20 音色の家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて兵庫県宝塚市へ。
家具デザイナーの藤森泰司さんが、
木製家具が映える「木の家」に会いに行きました。

施工例 | 2016.3.8

プロローグ

下地のようなもの

自身の仕事でありながら「家具って何だろう」といつも思う。もちろん、生活に必要なものだし、道具として使いやすいかどうかも重要だ。そして、そのフォルムの美しさも大事な要素のひとつだろう。だけど、本当にそれだけだろうか。何だかピンとこない。 以前、小中学校の学童家具をデザインする機会があった。自分の記憶をたどってみても、子供から大人になっていく学校というところは、とにかくいろんなことが起こる。 希望も絶望も一緒くただ。学校の机と椅子は、いつもそんな時、出来事の背景としてしっかりと存在していた。取るに足らないもののように見えて、実はとっても大事な存在なんだと改めて思った。生活というものは、確かな根拠があるようで実は曖昧で掴みどころのないものだ。だからこそ、家具が必要だ。僕たちの日常にほんのわずかでも大切な秩序を与えてくれる。 生きていくための背景。もちろん家もそう。家具とは、そして家とは「下地のようなもの」なのかもしれない。

藤森泰司|ふじもりたいじ
家具デザイナー
1999年「藤森泰司アトリエ」設立。家具デザインを中心に据え、建築家とのコラボレーション、プロダクト・空間デザインを手がける。近年は図書館などの公共施設への特注家具をはじめ、ハイブランドの製品 から、オフィス、小中学校の学童家具まで幅広く手がけ、スケールや 領域を超えた家具デザインの新しい在り方を目指して活動している。