ダイアログ1

だから、ここに建てました

「木の家」
H邸|福岡県、2012年9月竣工
延べ床面積: 108.89m²(32.93坪)
家族構成: 夫婦

穂村弘さんが会いにいった家

転勤が多い父上の仕事の関係で、故郷を離れて育ったHさんは、高校生の時に祖父母が暮らす地元・北九州に戻り、 ボート部の後輩だった現在の奥様と出会いました。
結婚してからしばらくは、祖父母の家に同居していましたが、20代の終わりに、祖父が所有する畑の一部を農地転用して二人が意気投合した「木の家」の新築をスタートさせます。
春のレンゲを鋤きこんだ夏の青田と、田色づく黄金の光景。
冬の雪景色。土手の向こうに流れる筑豊の一級水系遠賀川。
見晴かす豊穣の耕地に浮かぶ二人の黒い「木の家」は、視界を遮るものはなく、季節の陽光が室内に満ちていました。
二人の暮らしと「木の家」は、ダンスと音楽の関係のように互いに響き合いながら、自然に一つになっているようです。

「こんにちは。おじゃまします」
「いらっしゃいませ」

穂村さん
最初に外観の写真を拝見した時、いったいどんなロケーションなんだろうって思いましたけど、やっぱりスゴイね。

眺望の良い2階から

穂村さん
うわー、2階からの見晴らしがいいですね。
この窓の先には公園があって、夏には花火が上がるんですよ。その花火を眺めるための窓ですね。
穂村さん
ああ、ここから見えるってもう分かってたんですね。窓がたくさんあるけれど、サイズや配置ってどうやって決めたの?
例えばこの窓は高窓なら外からの視線が気にならないと思ったけど、夫は開放感重視なので、じゃあ大きな窓にしちゃえ、と。
視線、気にならないですよね。たまに望遠鏡を持ち出して外を眺めますが、この風景がどこまでも広がるだけですから。
穂村さん
家に近寄ってくる人がいるとしたら、ここに用事がある人だけですもんね。あとは歩き疲れて死にそうな旅人くらいだね。
そうですね(笑)。地元なんで近所もみんな顔見知りですし。

穂村さん
最初に家を建てようと考えた時に、ほかに二人でどんなことを話し合ったんですか?
二人で決めたのは「床と家具には妥協しないぞ!」です。
穂村さん
床? 材質とかですか。
合板のピカピカのフローリング材は自分たちが目指す雰囲気に合わないし、質感が固すぎて足触りもイマイチだなと思っていたので、無垢材のような心地良い床が良いなと……。
この床材はオーク材を使っていて、厚突きなので無垢の感触に近いんですよね。ちょっとラフな仕上げも気に入っています。
穂村さん
いいですよね。床の材質なんて意識したことなかったけど、改めて気づくとちょっと羨ましくなっちゃうね、この床。
床の素材感で室内の印象は大きく変わると思うんですよ。
家具は蚤の市で古いものを探したり、大川にお気に入りのお店があるので新しいものはそこで揃えました。ショールームを訪問してみたら居心地がとても良くて、気がつくと二人で5時間も。
穂村さん
二人の趣味も行動パターンも合うんですね。「ここ見に行こうよ」「あ、オレは行かなくていいよ」みたいなのはないんだ。
夫・妻
はい。ないです(キッパリ)
穂村さん
……。
妻は高校のボート部の後輩なんですよ。だから、もう15年。
穂村さん
スゴいですね~。よほど気が合ったんだね。っていうか、そういうカップルって実在するんだね。

二人でダンスを踊るように

穂村さん
ところで、家具は家を建ててから探したんですか?
間取りを決めるのと同時進行でしたね。家具のスペースも考えながら間取りを決め、完成と同時に家具を納めてもらいました。
穂村さん
そもそも「無印良品の家」はどこで知ったんですか?
博多に二人で観劇に行った時、開幕前に無印良品のお店を覗いて、そこで「無印良品の家」を初めて知りましたね。お店の方に福岡のモデルハウスの情報を教えてもらって……。
穂村さん
そこにももちろん二人で出かけて……。
ええ、行ってみたら二人の感覚にピッタリでした。間仕切りがない大空間の開放的な雰囲気も良かったし、外観がユニークで。
穂村さん
もう一目惚れだったんですね。
はい。こんな雰囲気でこういうモノになる、と計画段階からイメージも明快で、その時点で二人の趣味とも組み合わせやすいと確信してました。出来上がりもほぼ想像通り。
穂村さん
家はそこが難しいからね。完成してから「どひゃ~」「うっそ~」みたいな。しかも「まあいっか」と思えないのがキツい。
ほかのメーカーはドアノブ一つでも選択肢がとても広くて、それは建て主のためにだと思うんですが、家を建てる時は気分もハイになってるので、冷静なつもりでもついついスゴいのを選ぶんじゃないかって思うんですよ。そんな選択を重ねた結果、ありえないようなハイブリッドな家になったりして……。
その点「無印良品の家」はテイストにブレがないですからね。